採用したはいいものの若手が離職してしまうという悩みをお持ちではないでしょうか。若手の離職を防止し、定着力を上げるためにはどうすれば良いのでしょう。この記事では特に若手の離職を防止するための施策をご紹介します。
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厚生労働省が令和2年に発表した調査を参考に若手の離職率とその特徴を見ていきましょう。
(参考)新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)を公表します
厚生労働省によれば入社3年以内の離職率は中学卒業者が60%、高校卒業者が40%、大学卒業者が30%となっています。20年前から10年前にかけては「7・5・3現象」と言って入社3年以内の離職率が中学卒業者は70%、高校卒業者が50%、大学卒業者が30%で値が大きく変わることはありませんでしたが、ここ数年にかけて中学卒業者と高校卒業者の離職率は10%ほど下がっていることが分かります。しかし大学卒業者にはそのような大きな変化はなく、依然30%以上の値になっているのが現状です。
厚生労働省の資料によれば規模が大きな企業であるほど入社3年以内の離職率が低いということが分かります。規模が大きい企業ほど待遇がいいということだけでなく、オンボーディングの流れがはっきりしている、将来への不安を感じにくいということがその理由として考えられます。つまり、規模が小さい企業ほど若手の社員の定着に力を入れるべきなのです。
このように、大学卒業者の3人に1人が3年以内に離職する現状があり、企業の規模が小さいほどその傾向は顕著だということが分かりました。では何故若手は離職するのでしょうか。厚生労働省から発表されている別の資料からその理由について考察しましょう。
厚生労働省の公表した「令和2年上半期雇用動向調査結果の概況」から若手の離職原因を探ります。資料では、転職入居者が前職を辞めた理由についての調査が記録されています。
この資料から若手の離職理由はこのようになります。
※ここでは若手を20代以下とします。
20代以下の総合の離職原因はこのようになりました。では、~19歳、20~24歳、24歳~29歳、ではどのような違いがあるのでしょうか。年齢の区分ごとにその特徴をみていきましょう。
19歳以下の離職者の離職理由はほかの項目を引き離して「給料等収入が少なかった」が一番となっています。「会社の将来が不安だった」という項目は逆に0.1%と最も低くなっています。
20代前半の離職者の離職原因の特徴として挙げられるのが「能力・個性・資格を生かせなかった」という項目がほかの年齢の区分と比べて最も高くなっているということです。これは採用時に企業側が新規採用者の能力や個性を把握できていないことを示唆しています。
20代後半の離職者の離職理由は「職場の人間関係が好ましくなかった」が最も高いという結果でした。仕事内容にも慣れ、今後この会社でやっていけるかを考えるタイミングで職場の人間関係は重要な要素になるということが分かります。また、次いで多い離職理由が「労働時間、休暇等の労働条件が悪かった」「会社の将来が不安だった」という項目なのも特徴的です。20代後半で安定した給料がもらえるようになるとワークライフバランスや将来についてが転職を考える要素になるようです。
まとめると、社員が早期離職しないためには、採用時に能力や個性を把握すること、採用された後会社に定着させるために「良好な人間関係の構築」「会社の将来性の提示」「ワークライフバランスの尊重」が求められることが分かります。
先ほど述べた通り、早期離職者の離職原因として一番多かったものが「給料等の収入が少なかった」という理由でした。では単に収入を上げれば離職がなくなるといえるのでしょうか。ここでアンダーマイニング効果という心理学の有名な現象をご紹介します。アンダーマイニング効果とは心理学者エドワード・L・デシ氏とマーク・R・レッパー氏が発見した現象で、今まで自分から意欲をもってやっていたことであっても金銭的な報酬が与えられることによって動機がお金にすり替わってしまうというものです。給料のために仕事をしているという認識は仕事自体に対するモチベーションを低めてしまい、積極的な業務への参加意欲が無くなることで最終的に離職してしまう可能性があります。このことから給料を上げることで必ずしも離職率に関する問題が解決する訳ではないことが分かります。
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では若手社員の離職を防止するためにはどのような施策を行うべきなのでしょう。ここでは「採用」「オンボーディング」「ワークライフバランスの尊重」「キャリア支援」「社内コミュニケーション」という5つの項目に分けて解説していきます。
20代前半の早期離職の理由として特徴的だったのが「能力・個性・資格を生かせなかった」という理由の割合が高かったということです。採用時に新規採用者の能力や個性を把握し、適した業務を任せることで社員はその会社での働きがいを感じることができます。また、社員が思っていた会社イメージと実態が異なる場合、社員は理想と現実とのギャップを感じてその会社で働く意欲を削がれてしまいます。つまり、採用時には新規採用者のことを良く知り、自分たちのことを良く知ってもらうことが社員の定着力を上げることに繋がるのです。そのための施策として以下のようなものがあります。
データベース・リクルーティングとは人材プール(タレントプール)を活用した採用方法を指します。人材プールとは将来的に自社の採用候補となりうる優秀な人材を蓄えるためのデータベースのことです。これまでタイミングが合わず採用できなかった優秀な人材をデータベース化し、不定期に連絡を取ります。いざその人材が必要になった際に声をかけることで優秀な人材を効率的に採用できるという攻めの姿勢の採用方法です。もうすでに能力や個性を把握している人材を適切なタイミングで採用できるため、若手社員の会社の価値観にマッチしないなどの課題を防ぐことができます。
リファラル採用とは社内の信頼できる人脈を介した紹介・推薦による採用活動のことです。社内に新規採用者の理解者がいることから、新規採用者が職場になじみやすいことが利点です。新規採用者とは会社見学会やランチ会などのライトなきっかけを通じて接触するのが一般的です。この採用方法は社員が会社に対して好感を持っており、仲間に求職者がいれば紹介したいと思っていることが前提の採用方法となります。紹介や推薦によって採用することで、今会社に必要な能力を兼ね備えた人を採用することができたり必要な個性や資格を持っている人にピンポイントでアポイントをとったりすることが出来ます。また、会社の理念を理解した人からの紹介であることから価値観や考え方が企業とフィットしやすいので離職しにくい人材を取得できる手段とも言えます。
このように一辺倒な面接だけでなく、多様な採用方式を活用することでより効率的に定着しやすい人材を確保し、社員の能力や個性を最大限に生かした人事配置をすることができます。
若手の離職防止施策としてほかにも挙げられるのがオンボーディングです。オンボーディングとは新入社員が会社や業務になじめるようにするために必要なサポートをする取り組みを指します。特に社会経験のない新卒には手厚いオンボーディングを行うことで会社に出来るだけ早く慣れてもらう必要があります。オンボーディングを行うことで新入社員が問題を抱えることを防ぐだけでなく、存在を認めてもらっているという認識を新入社員に強めてもらうことで会社への帰属意識を高めることができます。オンボーディング施策の具体例としては以下のようなものがあります。
1on1とは部下と上司が1対1で、短い時間、短いスパンで行うミーティングのことです。一般的には週に1回、少ない場合でも1か月に1回行います。1on1の最も大きな特徴は部下が主体となるミーティングだということです。若手は特に企業理念の解釈が浅かったり、急激な生活リズムの変化によってメンタルヘルスを崩したりすることが多くなります。そこで1on1を行うことによって企業理念の解釈の確認ができるだけでなく、同時に部下のメンタルチェックを行うこともできます。1on1で目標と進捗の確認を繰り返すことによって自身の成長を感じることができ、業務への意欲が増すことで離職防止につながります。
メンター制度とは新入社員1人に対して1人、何でも相談できる存在(メンター)として先輩を配置する取り組みです。入社当初、若手は不安を抱えがちですが、年の近い先輩に相談することによって問題が解決したり心理的な負担が軽くなったりします。メンター側にも、管理職になった際に経験を生かすことができるというメリットがあります。
このように、丁寧なオンボーディングを行い新入社員の不安を取り除くことで早期離職を防ぐことができます。
厚生労働省の資料から、20代後半で安定した給料がもらえるようになると会社の将来性について考えはじめ、それが早期離職の原因となることが増えることが分かりました。「会社の将来が不安だった」という離職原因には職場でのキャリア支援が有効でしょう。そもそもキャリアとは生涯の職業体験やそこから得る能力を指します。この会社で自分がどのようなキャリアを身に着けていくかが具体的に想像できていれば将来について不安を抱くこともありません。キャリア支援の具体的な施策としては以下のようなものがあります。
ジョブ・カードとは厚生労働省が「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールとして様式を定め広く普及を進めているものです。厚生労働省のホームページによれば、ジョブ・カードを作成することにより、これまでのキャリアを振り返り、経験から得たことや、活かせる能力・強みなどを整理することで、今後どのようなキャリアを歩みたいかを考えることができます。今後の目標が明確になり、履歴書や職務経歴書もより充実したものとなります。会社での将来性が明確になり、若手社員の働くモチベーションになるでしょう。
(参考)TOP|ジョブ・カード制度総合サイト|厚生労働省
セルフ・キャリアドックとは、企業がキャリアコンサルティング面談や多様なキャリア研修などを組み合わせて、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組みのことを指します。セルフ・キャリアドックを行うことで社員の自らのキャリア意識や仕事に対するモチベーションの向上し、今後のキャリアも充実するでしょう。若手社員が将来について考える機会を持つことで将来について共に考えてくれる会社への愛着が増し、離職防止につながります。
(参考)セルフ・キャリアドック導入の方針と展開 - 厚生労働省
これらのようなキャリア支援を行うことで業務に慣れた後でも会社の将来や自身のキャリアに不安を持つことがなくなり、社員の定着力は上がるでしょう。
厚生労働省の定義では ワークライフバランス とは 「経済的に自立していながら心身の健康が保たれている状態で多様な働き方を選択できる」 ことを理想の状態とするものです。厚生労働省の資料から20代後半の早期離職の原因として「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」という理由の割合が高いことが分かりました。社員のワークライフバランスを尊重した取り組みをすることで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」ということを原因としての離職を防ぐことができます。ワークライフバランスを尊重するための施策として以下のようなものがあります。
テレワークとは、情報通信技術を活用した、場所にとらわれない柔軟な働き方のことです。テレワークには
の4種類があります。働く場所を会社に限らず柔軟に捉えることで社員個人個人に合った働き方を選択することが出来ます。若手社員は自分の仕事のしやすい環境で仕事ができることで急激な環境の変化をやわらげることができます。
フレックスタイム制 とは 出社時間と退社時間を自由に決められる制度 です。総労働時間は変えられません。フレックスタイム制を導入することで社員は働きやすい時間に集中して業務を行うことができます。労働時間が管理しにくくなるというデメリットもあるので労働時間を管理するシステムを構築してからの導入が望ましいでしょう。自分に合った労働時間を自身で選択できることによって会社での権限が制限されている若手社員でも自己効力感を感じることができ、会社からの束縛を感じにくくなることによって早期離職を減少させることができます。
このように働き方を選択できるようにすることで労働環境への不満を原因とした離職を減らすことができます。
20代後半の早期離職の原因として一番割合が高かったのが 「職場の人間関係が好ましくなかった」 というものです。「職場の人間関係が好ましくなかった」という離職原因を解決するためには 社内のコミュニケーションを活発化 させる必要があるでしょう。社内のコミュニケーションを活発化させる方法には以下のようなものがあります。
コロナウイルスの蔓延から、対面のコミュニケーションがとりづらいという現状があります。これまでできていたコミュニケーションの絶対値が減ってしまったと感じている場合、オンラインコミュニケーションツールの導入 を検討する必要があるでしょう。コミュニケーションツールを導入することで若手社員が不安を改善しやすい土台を作り、会社への帰属意識を高めることができます。コミュニケーションツールについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
サンクスカードとは仕事中に感じた感謝をメッセージで従業員同士で送りあう取り組みです。入社当初は企業の全体像が掴めず、自分の役割が不明瞭であることがしばしばあります。サンクスカードを導入することで自分の業務がどのような役割を担っているのかが明確になり、社員のモチベーションの向上が期待できます。また、自身の成長を感じられることで若手社員の会社に入った意味合いを感じやすくすることもできます。サンクスカードについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
このように社内のコミュニケーションを活発にさせる施策を行うことで職場の人間関係を改善することができ、人間関係を原因とした離職を防止することができます。
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