「ホワイト500について、くわしく知りたい。」
このように思う、管理部門の方も増えているのではないでしょうか?
高齢化が進む日本では、高齢化率(全人口に占める65歳以上の比率)が2015年の26.0%から、2060年には38.1%になると予想されています。そして総人口は、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻る可能性が示唆されています。
【出典】経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の促進について」
急激な人口減少が予想される中、健康への投資を促進し、就労世代の活力向上や、健康寿命の延伸が課題であることは明白です。
以上の背景から、「健康経営」が注目されるようになりました。 この記事では健康経営 について、中でも 「ホワイト500」 について掘り下げて解説します。
ホワイト500に認定される基準や、認定されることで得られるメリットについても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
【主なトピック】
【こんな方におすすめ】
企業経営に不可欠なのが、従業員の健康維持・増進への投資です。まずは健康経営についての概要と、健康経営優良法人認定制度、ホワイト500それぞれについて見ていきましょう。
「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的視点で考え、企業が戦略的に実践していく経営姿勢のことです。なぜ、企業は従業員の健康管理に投資するのでしょうか?
近年では長時間労働が常態化し、従業員が心身共に疲れてしまい元気に働けないケースが見受けられます。従業員の健康への投資は、働く人へ活力を与えることで生産性が高まり、その結果業績向上につながると企業は考えているからです。
政府は健康経営を「日本再興戦略」「未来投資戦略」と位置づけ、国民の健康寿命延伸に向けて取り組むようになりました。理想的な健康経営とは、以下のサイクルを回すことになります。
→企業収益UPのため健康への投資
→健康経営の促進
→仕事に集中・高いパフォーマンス・離職率の低下
→企業イメージUP・保険費等の負担減
健康経営の反対は、以下のように負のサイクルに陥ります。
→健康への投資不可
→従業員の不健康状態の恒常化
→集中力低下・休みがち・離職の増加
→企業のイメージダウン・保険費等の増大・企業収益悪化
以上のことから、健康経営への関心が高まり、実践する企業が増えているのです。
「健康経営優良法人認定制度」とは、健康経営に対する取り組みや日本健康会議が進める健康推進法を元に、健康経営を実践する法人を懸賞する制度です。2016年に経済産業省によって創設されました。
ちなみに日本健康会議とは、民間組織が連携した団体です。少子高齢化が進む日本で、国民一人ひとりの健康寿命延伸と、適正な医療について全面的に支援することを目的としています。
この認定制度によって健康経営に取り組む企業を「見える化」し、求職者や関連企業、金融機関などから社会的評価を受ける環境が整備されています。
健康経営優良法人認定制度では、大規模な企業を対象にした「大規模法人部門」と、中規模企業を対象にした「中規模法人部門」に分かれ、それぞれ認定しています。
「ホワイト500」とは、認定された健康優良法人のうち、大規模法人部門を対象にした制度のことです。
これまでは、大規模法人部門全体をホワイト500と呼んでいました。しかし、健康優良法人2020年からは、上位500社のみをホワイト500と呼ぶようになったのです。
ホワイト500と混同されがちなものとして、「健康経営銘柄」が挙げられます。健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で企業を認定し懸賞する制度で、ホワイト500同様に健康経営を実践している企業から認定されます。
認定された企業は、長期的な視点で企業価値を重視する投資家にとって、魅力ある企業ということで投資対象になります。認定されるための項目は、ホワイト500より多いのが特徴です。
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ホワイト500の対象となる法人の条件は、以下の通り業種ごとの従業員数によって決められています。
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ホワイト500認定には、経済産業省が定めた以下5つの基準があります。
●経営理念・方針
●組織体制
●制度・施策実行
●評価・改善
●法令遵守・リスクマネジメント
それぞれについて、見ていきます。
1つめの基準は「経営理念・方針」で、経営者が従業員の健康保持や増進に取り組んでいるかが問われます。
2つめの基準は、「組織体制」で、管理職が従業員の健康保持や増進に取り組んでいるかが問われます。
3つめの基準は「制度・施策実行」で、健康経営の仕組みをつくり忠実に実行しているかが問われます。
4つめの基準は「評価・改善」で、実施された制度や評価制度は整っているかが問われます。
5つめの基準は「法令遵守・リスクマネジメント」で、労働基準法や労働安全衛生法などの法令を遵守しているかが問われます。
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ホワイト500に認定された場合、企業にとってどのようなメリットが得られるのでしょうか?ここでは、5つのメリットについて掘り下げて見ていきます。
1つめのメリットは、従業員の健康維持に役立つことです。
ホワイト500の認定を受けるには、以下の施策が必要になるからです。
●従業員の健康管理やメンタルヘルスへの対策
●ワークライフバランスの推進
●過重労働の防止
以下のような徴候が見られる企業こそ、取り組むべきでしょう。
●ストレスチェックの結果が悪い
●残業や休日出勤が多い
●有給休暇の取得率が低い
●離職率が高い
●ヒューマンエラーが多発している
ホワイト500認定に向けての取り組みは、従業員の健康が維持され長く働ける職場環境になり、結果として企業に好循環を生み出すはずです。
2つめのメリットは、企業の生産性が向上することです。
従業員が健康で、モチベーションが高く保たれている企業は、以下の理由で労働生産性が自然に高まるからです。
●従業員が心身とともに健康でいると、気力が充実し業務効率が上がる傾向にあるため
●従業員が健康で生きいきと働くことで心に余裕が生まれ、新しいアイデアが出やすくなるため
●従業員のコンディションが良くなり、欠勤率や長期休業者が減り、業務がスムーズに回るため
従業員の健康が維持され、モチベーションを高めて働ける企業では、生産性が上がり業績が向上するのは言うまでもありません。
3つめのメリットは、ホワイト500に認定されると企業イメージが向上することです。企業イメージが向上すれば販売にも好影響をおよぼします。「この企業は従業員の健康管理をしっかりと考えている優良な会社だ」と消費者が良いイメージを持ち、結果として購買動機につながるからです。
またホワイト500や健康経営銘柄に認定されると、メディアが取り上げるケースも出てきます。メディアが取り上げる効果は絶大で、広告換算額で3~5億円相当に上がった企業のケースも報告されています。
【出典】経済産業省「健康経営の研究」
4つめのメリットは、採用活動のアピールポイントになることです。現代の求職者は、報酬以外で「働きがい」、「安定性」、「将来性」などを重視する傾向にあるからです。
ハローワークの求人票やハローワークのインターネットサービスでは、健康経営についての各種認定のロゴマークが利用できます。このように、労働市場へのアプローチがより有利になる傾向になってきているのです。
健康経営推進にあたり、健康診断の受診率アップは必須です。健康診断で病気が見つかると、福利厚生による治療費負担は一時的に高まるでしょう。しかし、復職支援や治療との両立支援を充実させることで、離職率は改善されます。
離職率が低い=長く働ける優良な環境だと、求職者にとっては魅力的な企業に映るはずです。
5つめのメリットは、投資家へのイメージUPにつながることです。 健康経営は、今後ESG投資と同様に重視されると予想されているからです。
ESG投資とは、数値で評価しやすい財務諸表に加えて、「E(Environment:環境)・S(Social:社会)・G(Governance:企業統治)」も考慮し評価する、国際的なトレンドのことです。このうち「S・社会」に関して、人的資本に投下する健康経営の姿勢が、金融機関や投資家から評価されます。このように健康経営をESG投資と同様に考える投資家が増えることは、健康経営に取り組む企業の評価が高まることにつながるのです。
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ホワイト500と類似して挙げられるのが、「ブライト500」です。ホワイト500とブライト500の違いについて見ていきましょう。
【出典】経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」ホワイト500が健康経営優良法人認定の大規模企業部門を対象にした制度なのに対して、ブライト500は中規模企業部門を対象にした制度です。したがって、大規模企業部門の上位500社がホワイト500、中規模企業部門の上位500社がブライト500になります。
ブライト500の存在意義や役割はホワイト500と同じで、健康経営を経営的視点で考え戦略的に実施していくことです。認定要件もほぼ同じになります。ホワイト500同様、「経営理念・方針」、「組織体制」、「制度・施策実行」、「評価・改善」、「法令遵守・リスクマネジメント」の項目は認定に必須です。
ホワイト500は、従業員やその家族、地域住民や取引先など広域に向けた取り組みを重視する傾向です。地域社会と連携したイベントの開催などは、その代表例でしょう。
対してブライト500は、従業員の健康づくりへの取り組みが重視される傾向です。食生活改善、長時間労働の削減、メンタルヘルス不調者への対応などが主になります。
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ホイワト500の認定企業について、見ていきましょう。
法人格で分類すると、以下のように「会社法上の会社等」、つまり民間企業が大半を占めます。
●会社法上の会社等(株式会社、合名会社・合資会社、合同会社、有限会社等)・・・461
●士業法人(弁護士法人、監査法人、税理士法人、行政書士法人、司法書士法人等)・・・0
●特定非営利活動法人・・・0
●医療法人、社会福祉法人、健康保険組合等保険者・・・21
●社団法人、財団法人、商工会議所、商工会・・・8
●公法人・特殊法人(地方公共団体、独立行政法人、公共組合、公団、公社、事業団等)・・・4
●その他、国内法に基づく法人(社団法人、財団法人、特定非営利活動法人等)・・・5
業種別では、上位10業種は以下の通りです。
2022年度ホイワト500社の一覧は、以下経済産業省サイト内の『2.「健康優良法人2022」の認定について※2022年6月1日更新』より、「健康優良法人2022(大規模法人部門)認定法人一覧からご覧いただけます。
【出典】経済産業省「健康優良法人認定制度」
最後にホワイト500認定に向けての、手順を見ていきましょう。認定には、以下5つが必要になります。
ステップ1:「健康経営度調査」に回答する(認定要件「経営理念・方針」、「組織体制」、「制度・施策実行」、「評価・改善」について、それぞれの設問に回答する。配点は項目によって変わる。)
ステップ2:健康経営度調査に回答した企業に対して結果サマリー(フィードバックシート)を送付(各社が今後の健康経営を改善する際に参考となるように、評価の詳細や経年変化がわかる内容)
ステップ3:申請書類を提出(日本健康会議健康経営優良法人認定委員会事務局まで)
ステップ4:健康経営優良法人認定委員会による、認定審査を受ける
ステップ5:日本健康会議において、認定を受ける
「健康経営優良法人2022」に係るスケジュールについては以下の通りでしたので、申請する際の参考にしてください。
2021年9月:「健康経営度調査」審査受付
↓
2021年11月~12月:「フィードバックシート」送付
↓
2022年2月:内定
↓
2022年3月:「健康経営優良法人」の発表
以上、健康経営優良法人認定制度やホワイト500について解説しました。
ホワイト500に認定されることで、さまざまなメリットが得られることがおわかりいただけたのではないでしょうか。また認定に関する基準や、認定までの手順についてもご理解いただけたでしょう。
健康経営への取り組みは、今後企業にとって必須になります。従業員の健康維持や増進に取り組むことこそ、企業の業績向上や組織としての価値へとつながるからです。
健康経営促進で重要なのが、経営トップの意識改革です。 経済産業省の調査でも、経営トップ自ら健康経営の最高責任者を務めているのは、2014年は5.3%だったのが2021年は77.2%となっています。
【出典】経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」
つまり、健康経営には経営トップの参画が欠かせないことを、経営者が理解し始めたのです。もし貴社がホワイト500認定をお考えなら、経営者を巻き込み理解を得たうえで、管理部門主体に推進すればご自身の評価にもつながるでしょう。
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