企業が事業を行う環境は一昔前と比べて大きく変わりました。 今や定年まで同じ企業で働く人は減りつつあり、日進月歩で発達するIT技術が業務のあり方を変えています。
こうした中で、チームの生産性を高めて、企業として結果を出すために注目されているのがチームマネジメントです。
本記事では、現代企業に必要なチームマネジメントを実現するポイントを解説します。そもそも現代ではどういったチームマネジメントが求められるのかを明確にし、それが求められる理由、チームリーダーに必要なスキルも紹介するので、チームを率いる参考にしてください。
適切なチームマネジメントはチームのみならず企業を成長させる効果を持ちます。変化の多い現代において生き残り、事業を成長させるためのチームマネジメントに取り組んでいきましょう。
【主なトピック】
【こんな方におすすめ】
チームマネジメントとは、チームメンバーをまとめ、目標に向かって高い生産性を維持しながら活動できる状態を構築・維持することを指します。そして現代企業に求められるチームマネジメントの特徴は柔軟性です。
昨今は転職が当然のものになり、日々新しい技術が生まれています。また、1つのチームに所属するメンバーも多様な経歴とスキルを有し、複数のチームを横断した活動も増えるようになりました。
このように変化の激しい状況において、目標を実現するためには柔軟なチームマネジメントが求められるのです。柔軟性を欠くトップダウン型のチームマネジメントでは、現代の経営環境において成果を出せない恐れがあります。そのため柔軟性というキーワードを念頭において、本記事を読み進めていってください。
ここではチームマネジメントに柔軟性が求められる理由を掘り下げていきます。冒頭でも述べた通り、一昔前と現代では企業経営の環境が大きく異なっています。
特に以下で紹介する3つは、現代におけるチームマネジメントのあり方を考える背景として重要です。
みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4割減(2017)」によると、2020年に6,404万人いる労働力人口は2040年には5,268万人にまで減ると予想されています。労働力人口は減りますが、国内外における企業同士の競争が緩やかになることはないでしょう。
これからの企業は少ない労働力人口で国内企業・海外企業との競争をしていかなければなりません。そのためにはチームの生産性向上が非常に重要です。現代におけるチームマネジメントのあり方を考える際は、労働力人口減少の観点を忘れないでください。
【引用】みずほ総合研究所「少子高齢化で労働力人口は4割減(2017)労働力人口の減少に関連して、昨今の人材市場においては求職者の立場が強くなりつつあります。特に優秀な人材については各企業が獲得競争を繰り広げている状況です。その結果、人材の流動性が高まります。
一昔前にあった1人の人材が1つの企業に生涯勤務するというあり方は今後変わっていくと予想されます。また男性であっても育児休暇を取得する風潮やライフワークバランスに対する意識も高まっています。今後、労働人材は自らの理想とする働き方を実現する点に重きをおくようになるでしょう。
そのため、これからは転職によるチーム人材の入れ替わりを常に念頭におきながら、個々の人材がなるべく長く根付いてくれるような組織を作る力が重要になります。
また、今後は企業に集まる人材のバックボーンや経歴も多様になると考えられます。具体的には、外国人と共に働く機会が増えたり、個人事業主やフリーランスと協業する機会が増えたりするでしょう。
チーム内の全員が国内の高校および大学を卒業しており、正社員としての立場も同じという状況は今後変わっていきます。そのためチームマネジメントを実現するリーダーには、多様な人材をまとめ上げて成果を上げることが求められます。
このように企業経営の環境が変化するため、チームマネジメントにおいてこれまで通りのやり方が通用しない場面も出てくるかもしれません。そうした困難を切り抜けるためにも、柔軟性をもったチームマネジメントを実現していきましょう。
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ここまでの内容で、企業経営の環境が大きく変化する中で成果を上げ続けるためには柔軟性をもったチームマネジメントが必要とイメージできたと思います。では、そもそもチームマネジメントとはどのようなポイントに注意することで実現できるのでしょうか。
以下では、4つのポイントからどのようにしてチームをまとめ上げていくべきかを確認していきましょう。いずれもチームマネジメントの骨子となるものなので参考にしてみてください。
チームマネジメントを実現するためにビジョンの策定が非常に重要です。なぜならば、明確なビジョンがなければチームメンバーが向く方向がバラバラになってしまうためです。各メンバーが違う方向を向いてしまっては、チームとして生産性の高い状態を維持することは難しくなります。
ビジョンを明確にするためには次の2つのポイントを意識しましょう。
●企業の経営目標
●経営目標の実現に対するチームの存在意義
つまり企業として目指す方向の中で、チームにはどのような役割を与えられているのかを明確にします。この点がチームメンバーの共通理解として存在すると、自ずと各メンバーの業務もビジョンに沿ったものになるでしょう。
そもそも企業の経営目標が定かでないという場合は、経営層に働きかけて企業全体のビジョンを策定するところから着手してみてください。
企業として目指す方向におけるチームの役割を把握したら、チームの業務を最適化していきます。そのために次のポイントをふまえて戦略を構築しましょう。
●市場における自社のポジション
●競合他社の動向
●競合他社に対する自社の優位性と課題
戦略とは、ビジョンを実現するための具体的な方法です。ただし当然ながら戦略はビジョンに沿ったものである必要があります。ビジョンに沿った戦略を策定できると、チームとして行うべき業務がさらに具体的に見えてきます。
チームとして行うべき業務が見えてきた後は、短期・中期・長期で目標を設定し、PDCAを回しながら業務の実行と改善を図りましょう。PDCAを成功させるためには、メンバーに合わせた頻度でのサポートが必要です。
例えば、新卒入社者やチームに参加したばかりのメンバーに対しては、1日の業務スケジュールを構築するところからサポートが必要な場合があります。一方で、チームメンバーとしての歴も長く、ビジネス経験の豊富なメンバーに対しては週次の進捗管理だけにしても問題ありません。
PDCAはチームとしての目標達成を実現するために回すので、チーム全体で一律のルールを定めずにメンバーごとに必要なサポートを実施していきましょう。
このようにビジョンの策定からPDCAまでを実施しながら、チームメンバーのケアにも目を光らせていきます。具体的には、メンバーのモチベーションやスキルアップを支援しましょう。
個々のメンバーのモチベーションが高まり、主体的な行動が増えるとチームの生産性も向上します。そのために日々の業務に次の取組みを追加し、メンバーとコミュニケーションを図るのがおすすめです。
●メンバーのキャリアパスに沿ったマイルストーンの構築
●日々の業務に対する賞賛
●日々の業務に対する課題の指摘
●1on1によるコミュニケーション
業務を続けていると誰でもミスをします。ヒューマンエラーは避けられません。ミスがあったときにメンバー個人や人格を非難するのは避けてください。ミスの指摘はあくまで業務を対象に実施します。そのうえでメンバーと共にヒューマンエラーを回避する仕組みを構築できると、メンバーのチームに対する信頼感も高まるでしょう。
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ここまで紹介した通り、チームマネジメントの実現はチームリーダーの手腕によるところも大きくなります。リーダーがチームのあり方を明確にイメージしており、各メンバーに合わせたサポートができるとマネジメントも適切なものになるのです。
ここでは適切なチームマネジメントを実現するためにリーダーに求められるスキルについて確認しましょう。
チームリーダーに求められるスキルとしてコミュニケーション力は非常に重要になります。先ほど紹介した通り、チームマネジメントの実現には各メンバーとの細かなコミュニケーションが必要になるためです。
各メンバーとのコミュニケーションにおいては次の2つを意識します。
●メンバーの考えや思いを聞く能力
●会社の計画や考えをメンバーに伝える能力
特にメンバーの考えや思いを聞く能力は重要です。冒頭でも述べた通り、これから人材の流動性が高まっていきます。そうした環境において、自分の考えが受け入れられないと感じたメンバーは次の職場を探すようになるでしょう。そのためチームマネジメントを実現するリーダーとしては、メンバーの考えと会社の考えのすり合わせを意識していきましょう。
こうしたすり合わせを意識してマネジメントをしていくと、会社と個人の衝突を避けながらチームとして同じ方向に進む体制の構築ができるようになります。各メンバーがどのような物事にモチベーションを高めるのかもふまえて丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
またチームリーダーには柔軟性も求められます。今後、企業に集まる人材はどんどん多様なものとなるでしょう。正社員とフリーランスが一緒に働く機会も増えており、様々なバックボーンを持った人材がチームに所属するようになるでしょう。
また年齢による価値観の違いも多いです。例えば、仕事でいかに高い成果を出すかを生きがいのように感じる人がいる一方で、公私のバランスをとるためにプライベートを損なうような働き方を望まない人もいます。
このように現代において、1つの企業の中に多様な価値観を有する人材が集まるのは当然のことです。そのためチームリーダーは異なる価値観に対して柔軟な姿勢を持つ必要があります。
さらに現代においては技術革新に対する柔軟性も重要です。新しいソフトウェアやSaaSサービスを導入することで生産性の高まる業務は決して少なくありません。チームリーダーは新技術導入に関する一定の決裁権を有するケースもあるため、現場メンバーの利便性を高める技術に対する感度を高く維持すると良いでしょう。
チームリーダーは、高いコミュニケーション力と柔軟性を備えた上で、チームを率いていかなければなりません。そして、これまで述べてきた通り、個人の価値観が多様化している現代では従来のトップダウン型のリーダーシップは上手く効果を発揮しないケースもあります。
これから求められるリーダーシップは信頼に裏打ちされたものとなるでしょう。日頃からチームメンバーとコミュニケーションをとり、会社の考えと個人の考えを丁寧にすり合わせしていくことで生まれるメンバーとリーダー間の信頼関係ことが重要です。
チームにおける信頼関係は1日で構築できるものではないため、日頃の積み重ねを意識してチームを作り上げてみてください。
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ここではチームマネジメントを実現しやすい環境について、回避すべき状態から解説します。以下に紹介する2つの状況はチームマネジメントの実現を妨げる恐れがあるため、日頃から注意してみてください。
チームマネジメントにおいて、リーダーはマネジメントと業務に集中できる環境が必要です。昨今は多くの企業が人材不足の状態にあり、チームリーダーも現場業務に手を動かさなければならない場合もあるでしょう。
しかし、リーダーがマネジメント業務にリソースを割けない状況は中長期的にみてチームの成長を妨げる恐れがあります。こうした状況を改善するためには、日頃から次のポイントを意識しましょう。
●他のメンバーに任せられる業務を任せる
●生産性を高めるソフトやサービスを導入する
リーダーの中には「メンバーに任せるよりも自分でやった方が早いから」といって、現場業務の一部を率先して行う人もいます。しかし、これではメンバーの成長を促すことができません。はじめのうちこそ頻発する修正とフィードバックにもどかしさを感じるかもしれませんが、人に任せられる業務は人に任せることを徹底し、マネジメントに集中できる状況を作っていきましょう。
チーム内のコミュニケーション不足もチームマネジメントを妨げる要因となります。そのためリーダーとメンバー、メンバー同士で活発にコミュニケーションできる環境を整えましょう。
チーム内であっても各メンバーが担当する業務は分断されるケースがあるため、週次でチームミーティングを開催して中長期的な目標を再確認するのは有意義です。また各メンバーが日頃の業務に従事する中で発見した問題を共有する場を作るのもおすすめです。チャットツールを利用してリアルタイムに共有できる環境を構築しておくと、メンバーの負担にもなりません。
日々の業務が忙しくなると、メンバー同士のコミュニケーションは後回しにされていきます。こうした状況を避けるためにも、チームリーダーは各メンバーの業務負担を把握し、チーム内のコミュニケーションが活発に行われる環境を積極的に整えていきましょう。
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今回の記事ではチームマネジメントについて解説しました。チームマネジメントは各企業の各チームにおいて構築されるため、一つの決まった正解があるわけではありません。
しかし記事で紹介した通り、人材の流動化と多様化に対応する柔軟性を念頭に置きながら、各ポイントをおさえていくと自ずと適切なチームマネジメントが見えてくるはずです。PDCAを回し続ける必要があるのは現場業務もチームマネジメントも同じなので、まずはあなたの企業において必要なチームマネジメントに着手するところから始めてみてください。チームリーダーはチームマネジメントにおいて中心的な役割を果たし、コミュニケーション力、柔軟性、リーダーシップが求められます。
適切なチームマネジメントができるとチームの生産性が向上し、企業として掲げる目標の実現も近づくでしょう。記事を参考に明日からチームマネジメントの実行を開始してみてください。
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