ストレスケアとは?組織を強くするために上司ができることを解説

ストレスマネジメントワーク・エンゲージメント

昨今、ストレスを感じながら働く人の割合が増えています。令和2年に行われた厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」では、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安やストレスを感じる事柄があると回答した労働者の割合は54.2%と、半数以上の労働者が何らかのストレスを抱えながら働いていることがわかりました。

このような状況の中、組織をまとめる管理職としては、ストレスケアを適切に行うことがメンバーの休職・離職を予防するとともに、組織の持続的な成長にも欠かせない要素となっています。またストレスを抱える部下をマネジメントすることで上司である自身にも大きなストレスがかかることがよくあるため、自身のストレスについても目を向けることが大切です。

適切なストレスケアを行うためには、まずストレスとは何かをきちんと理解することが重要です。今回は、部下のストレスケアについてお悩みの方に向けて、そもそもストレスとは何か、ストレスを放置するとどんなことが起こるかなどについて簡単にまとめるとともに、自分や部下のストレスケアの方法、さらに組織として対処を行うために、ストレスケアができる組織を作る方法を解説しました。

本記事のサマリー

  • 職場におけるストレスケアは、メンタルヘルスケアとほぼ同義と考えて差し支えありません。
  • 使用者には、従業員の心身の健康を損なうことがないように注意する法的な義務(安全配慮義務)があり、職場におけるメンタルヘルスケアの重要性が高まっています。
  • ストレスとは、一言で言うと「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」のことです。ストレスには、3つの要素(ストレス要因、ストレス反応、ストレス耐性)が含まれています。
  • 自分のストレスに対処するセルフケアの方法を知っておくことは、心身ともに健康で働き続けるために大切なことです。
  • 部下のストレスケア(ラインケア)において最も重要なことは、常に部下の様子を見ておくことです。ストレスがかかっていると、身体や心、そして行動面にいつもと違う面が現れます。
  • 管理者としては、それぞれの部下が持つ仕事の量と質を把握し、これらの条件をある程度調節することで、できるだけストレスのかかりにくい環境を作ることが大切です。

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ストレスケアとは

ストレスケアには正確な定義がありません。一般的には、ストレスを解消する方法だけではなく、ストレスを感じやすい考え方の癖を改善したり、ストレスが起こりにくい環境を作ったりといったストレスに対する短期・長期的な対処法全般を指すことが多いです。職場におけるストレスケアは、メンタルヘルスケアとほぼ同義と考えて差し支えありません。

職場におけるストレスケアの重要性

ストレスを抱える労働者が増え、精神疾患による労災認定件数も増加傾向となっています。また個別労働紛争解決制度における職場のいじめ・嫌がらせに関する相談件数や割合も右肩あがりに増えており、国も第 13 次労働災害防止計画の一環として、職場におけるメンタルヘルス対策の推進を挙げています。

使用者には、従業員の心身の健康を損なうことがないように注意する法的な義務(安全配慮義務)があります。管理者は、使用者側の一員として安全配慮義務の実行責任を担っており、担当する部署の職場環境を向上させる責務があります。

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そもそもストレスとは何か

ストレスケアを行う際には、ストレスについてよく知ることが大切です。ストレスとは、一言で言うと「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」のことです。ストレスには、3つの要素(ストレス要因、ストレス反応、ストレス耐性)が含まれています。

ストレス要因(ストレッサー)とは、ストレスの原因となる外部からの刺激のことです。ストレス要因には天気や気温、音や混雑などといった物理的ストレッサー、薬物や酸素・一酸化炭素濃度、公害物質などの化学的ストレッサーの他、睡眠不足や病気といった生理・身体的ストレッサーや人間関係や仕事上の問題などの心理・社会的ストレッサーがあります。ストレッサーは必ずしも悪いものではなく、例えば結婚や出産、昇進や引っ越しなどといった良い出来事もストレッサーとなります。

人間には、同じ状態を保つホメオスタシスという機能が備わっています。ストレッサーによって刺激が加わると、刺激を受け止めそれを解消し、以前と同じ状態に戻そうとする心や身体、そして行動面の反応が起こります。これをストレス反応といいます。ストレス反応は必ずしも悪いものではなく、良いストレスがかかると期待や集中など、前向きな反応が起こることも多いです。逆に悪いストレスがかかると、病的な反応を起こすことがあります。

ストレス耐性とは、文字通り、ストレスに耐えてもとに戻ろうとする力を指します。ストレス耐性には大きな個人差がありますが、性格や考え方の癖などが影響していることが多いです。ストレス耐性を下げる考え方の癖については、訓練や認知行動療法などによって、ある程度の改善が可能です。

ストレスが関係する主な病気

ストレスに適応できず、悪いストレス反応が出てしまった場合、さまざまな病気の原因となることがあります。2022年現在、ストレスが原因となることが明らかとなっている主な体の病気には、高血圧や脳卒中、心筋梗塞といった命に関わる病気をはじめ、胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、甲状腺機能異常、気管支喘息などがあります。また心の病気の多くはストレスと関わりがあるとされており、不安や抑うつの他、拒食症や過食症、そして心的外傷後ストレス障害(PTSD)などさまざまな状態を引き起こします。

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自分でストレスに対処するセルフケア

自分のストレスに対処するセルフケアの方法を知っておくことは、心身ともに健康で働き続けるために大切なことです。また、ストレスに対するセルフケアを行い、健康な状態を保つことは労働者としての責任を果たすことでもあります。ここでは、自分でストレスについて対処するセルフケアの方法をご紹介します。

ストレスについて知る

自分でストレスをケアするためには、まずストレスがかかっているということを認識する必要があります。ところが、特に慢性的なストレスの場合、自分ではストレスがかかっているという自覚がないことがよくあります。

ストレスについてよく知ることで、ストレスがかかっている兆候が出た時に、早めにセルフケアを行うことができます。

ストレスがかかっている時に出る自分のサインを知る

自覚がないままストレスを受け続けることで、仕事を長期間休まなければならないほどのメンタル不調や、病院での治療が必要となるほどの身体の病気につながることがあります。

ストレスによる不調が大きくなる前には、自分で気がついていなくても、ストレスがかかっているという何らかのサインが身体や心、そして行動から出ていることがほとんどです。どんなサインが出るかは人によって異なります。よく見られるサインについて下に挙げておきましたので、ご自身に当てはまるものがあるかどうか参考にしてみてください。

●身体に出るサイン:倦怠感、肩こり、頭痛・頭重感、動悸・胸痛、食欲不振・胃もたれ・吐き気、下痢・便秘・腹痛、アレルギーの悪化、血圧の上昇、めまい、大量の汗が出るなど
●心に出るサイン:イライラ、疲れ、意欲の低下、注意力や判断力、記憶力などの低下、眠れない・寝つきが悪いなど
●行動に出るサイン:仕事のミスが増える、お酒の量が増える、ギャンブル・買い物などにはまる、暴力など

定期的なセルフチェックを行う

知らないうちにストレスがかかっていないかどうかを知るために、セルフチェックを行うと良いでしょう。年に一度職場で実施されるストレスチェックでも良いですし、厚生労働省のサイトなどにも セルフチェックツールが公開されていますので、ご興味のある方はぜひお試しください。

セルフチェックは、一度行って終わりというものではありません。同じように見える職場環境でも、メンバーや取引先、顧客の変化などによって、受けるストレスは大きく変わります。定期的なチェックを繰り返すことで、自覚がないまま重度のストレスを抱える危険性を回避することができます。

自分なりのストレス解消法をもつ

ストレスがかかっていると思った時にできるストレス解消法をいくつか持っておくと良いでしょう。ヨガやストレッチなどのリラクゼーション、ウォーキングやジョギングなどの適度な運動がお勧めです。友人や知人、家族と話したり、テレビやyou tubeなどの動画を見て笑ったりすることも良い方法です。

また趣味のない人はストレスが溜まりやすい傾向にあるようです。若い頃に興味を持ってやっていたことや、定年して時間が取れたらやってみようと思っていることがあれば、ぜひ今日から始めてみましょう。

相談できる上司や同僚、産業保健スタッフを持つ

職場関係のストレスは、職場で相談できるのが一番です。相談できる上司や同僚、また産業医をはじめとした産業保健スタッフを持つと良いでしょう。「社内で相談すると個人情報が漏れそうで心配」という声もよく聞きますが、産業保健スタッフには守秘義務がありますので、本人の許可がない限り、相談の内容を他人に伝えることはありません。それでも心配、という方に向けて、企業によっては外部の相談ダイヤルなどと契約しているところもあります。お勤めの企業の福利厚生を確認してみると良いでしょう。

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部下のストレスに対して行うラインケア

労働者の半数以上が仕事に対するストレスを抱えている現状において、部下のストレスを適切にケアすることは、管理者として極めて重要な責務となっています。ここでは、部下のストレスに対して行う代表的なラインケアの方法とラインケアのコツをご紹介します。

部下の状態を把握し「いつもとちょっとちがう」ことを感知する

ラインケアにおいて最も重要なことは、常に部下の様子を見ておくことです。ストレスがかかっていると、前述の通り、身体や心、そして行動面にいつもと違う面が現れます。部下の様子をきちんと把握している管理者の場合、この「いつもとちょっとちがう」を早めに察知することが可能です。この時点でストレスケアに入ることができれば、休職・退職といった重大な結果を避けられることが多いです。

ストレスがかかった時に他人からわかりやすい「いつもとちょっとちがう」面としては、以下のようなものが挙げられます。ご自身の部下に当てはまるものがないか、定期的に確認してみてください。

●勤怠や服装に乱れが出る:急に遅刻・早退・欠勤が増えた場合は要注意です。特に無断での遅刻・欠勤には気をつけましょう。また残業や休日出勤の増加も見逃せません。日中、人が多い時間に会社にいたくない理由があるのかもしれません。精神的な問題があると、身だしなみまで気を配ることができなくなり、服装に乱れが出ることがあります。
●仕事のミスが急に増える:仕事の効率が落ちる、報連相(報告・連絡・相談)ができなくなるなどといったことが増えてきた場合は、何らかの事情で仕事に集中できていないことが考えられます。
●表情が暗い、活気がない、会話が少ない:抑うつ状態によくあるサインです。

産業医などの産業保健スタッフと連携する

上記のような「いつもとちょっとちがう」がある場合、単なるストレス反応ではなく治療を要する病気が隠れていることがあります。産業医、看護師、保健師、衛生管理者など職場の産業保健スタッフと連携し、必要な対応が取れるようにしておきましょう。

自分の尺度ではなく部下の尺度で考える

部下のストレスをケアする際に注意しておきたいのは、ストレス耐性には大きな個人差があるということです。 例えば顧客からクレームを言われた場合、目の前で罵倒されても全く気にしない人もいれば、たったひとつの些細なクレームによって夜も眠れないほどのストレスを抱えてしまう人もいるのです。部下から相談があっった際など、「このくらいのことでストレスを抱えることはないだろう」と自分の尺度で考えてしまい、かえって部下の不信感を煽ってしまうというケースがよくみられます。フラットな視点で部下の様子を観察し、まずは相手の発言を傾聴することを心がけましょう。

ストレス耐性については、関連記事「ストレスに弱い人の特徴を解説!耐性を高める方法と組織づくりのコツ」で詳しくご説明しています。興味のある方はそちらもご参照ください。

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組織としてできるストレスケア

組織としてできるストレスケアを考える際に大切なことは、職場におけるストレスの発生要素を把握することです。一般的に、職場におけるストレスは下記の条件が揃った時に高くなると言われています。

●仕事の自由度・裁量が小さい
●仕事の要求度が高い
●周囲からの支援が小さい

管理者としては、それぞれの部下が持つ仕事の量と質を把握し、これらの条件をある程度調節することで、できるだけストレスのかかりにくい環境を作ることが大切です。

これら3つの要素の他にストレス要因となり得る職場環境としては、以下のようなものがあります。部下ができるだけ仕事のしやすい環境を作ることも、管理者の重要な役割です。

●作業環境(温度湿度、照明、騒音など)
●作業方法(作業スペースや作業姿勢、身体や感覚器官への負荷など)
●人間関係
●組織形態(指揮命令系統、責任や権限などの仕組み)

作業環境や方法は、組織として対応が可能なことも多いです。不満などの訴えがなくても定期的に職場環境をチェックし、できる範囲で少しずつ整えていくと良いでしょう。

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まとめ

以上、ストレスケアについて、そもそもストレスとは何かについて簡単に解説するとともに、ストレスケアの重要性、自分のストレスやメンバーのストレスに対処するストレスケアの方法、さらに組織としてストレスケアを行う方法についてまとめました。ストレスによる不調の代表格であるメンタルヘルス不調は、放置するとどんどん状況が悪化し、突然の休職や離職につながる可能性が高いです。部下の不調を素早く見抜くこと、また見抜いた際には本人に自覚がなくても積極的なストレスケアを展開することで、心身ともに健康な状況で働ける職場環境を構築することが可能です。ぜひ今日から少しずつ、ストレスケアを始めてみてください。

【執筆者紹介】
森賀麻由良(ペンネーム)
産業医・循環器内科医
・プロフィール情報
某国公立大学医学部医学科卒業後、循環器内科医として20年以上のキャリアを積む。現在は総合病院循環器内科に勤務しながら、2020.8より本格的に産業医業務に従事。東証一部上場企業含め複数の企業の嘱託産業医として産業保健活動に携わる。高血圧をはじめとした生活習慣病の予防と管理から、過労死を減らすことを目標として活動中。
・保有資格
医学博士
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会循環器専門医
日本人間ドック学会認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医

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