セクショナリズム という言葉を知っていますか? セクショナリズム は英語のsection(セクション)から生まれた言葉で、組織間の対立のことを指します。会社内でギスギスした空気を感じている会社は、セクショナリズム に陥っているかもしれません。今回は セクショナリズム の意味やそのデメリット、対策について解説していきたいと思います。
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セクショナリズムという言葉を初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。この章ではセクショナリズムの意味や種類、対義語などを紹介します。
セクショナリズムとは
を指します。似たような言葉に「派閥主義」「セクト主義」「部局割拠主義」等が挙げられます。
セクショナリズムには2つの種類があります。「無関心型・非協力型」と「批判的・排他型」です。それぞれについて説明します。
セクショナリズムの1つ目の種類は 「無関心型・非協力型」 です。これはほかの部署や組織、チームが何をやっているのか把握できておらず、また、関わっていこうという意志がない状態を指します。組織の専門性が高まると自分の属している組織にしか目がいかずこの状態になってしまうことが多いでしょう。
セクショナリズムの2つ目の種類は 「批判的・排他型」 です。これは組織同士の利害関係の不一致によって対立が起きている状態です。セクショナリズムが過激化すると他の組織に対して負の感情を持ち、無責任に誹謗中傷するようになってしまいます。
セクショナリズムの対義語として挙げられるのは
等です。
ここまでセクショナリズムの概念的定義について説明してきました。ここでは具体的な例を挙げてセクショナリズムを説明します。組織間の対立は主に2つの種類に分けることができます。
水平的コンフリクト とは依存関係が強い組織間で起こりやすい対立です。組織それぞれの目標を達成することに囚われている時や、限られた資源を取り合う状況の時に起きます。例えば
等があります。
垂直的コンフリクト は組織間に上下関係があるときに発生しやすい対立です。上の階層と下の階層の間には心理的距離が生まれ、それぞれ独自に利害関係を有することから、解消されづらい対立だといえます。垂直的コンフリクトの例として
等があります。
ではセクショナリズムは会社にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。ここではその一部として 「生産性の低下」「同調圧力の強化」「離職率の上昇」 を挙げます。それぞれについて説明します。
組織間で対立していると他の組織の協力を必要とするようなチャレンジングな施策を打ち出しづらく、枠をはみ出すような発想をしにくいというデメリットがあります。よって組織の構造が変わりづらく業務の効率化等にも着手しづらいでしょう。また、セクショナリズムが過激になると会社全体の利益となることであっても対立する組織の利益に貢献するのであればやらないという可能性があります。つまり、セクショナリズムは会社の利益や生産性を低下させる要因になるのです。
組織間で対立すると、自分が所属する組織への帰属意識が強くなります。強い結束感が生まれることは一見メリットに見えます。しかし、外発的な要因から生まれた帰属意識は強すぎる規則を生み出したりそれに従わないメンバーに排他的になってしまったりします。セクショナリズムによる同調圧力は組織内の人間関係にも悪影響を与えることがあるのです。
組織間での対立が激しくなると社内にギスギスとした空気が流れ、人間関係も崩れ始めるでしょう。令和2年の厚生労働省の調査では離職理由として最も割合の高かったものが「職場の人間関係が好ましくなかった」であるという結果が出ています。セクショナリズムによって人間関係が悪化することで会社から良い人材が離れてしまう可能性があるというデメリットがあります。
(参考)― 令和2年上半期雇用動向調査結果の概況 ―
セクショナリズムは会社に悪い影響を及ぼすということが分かりました。ではセクショナリズムの原因となる要素には何があるのでしょうか。ここでは 「縦の組織」「不完全な情報共有」「利害関係の対立や競合」「未熟な組織内関係」 の4つを挙げます。それぞれについて解説していきます。
組織に上下関係やヒエラルキーがあると心理的な距離が発生しやすく、対立関係が起こりやすくなります。従来型の組織は 「職能別組織」「事業部制組織」「マトリックス組織」 の3種類に分類されます。
職能別組織とは購買部門、生産部門、販売部門といったように職能別に分かれている組織のことを指します。特定の職能に関する知識や技能が集約され、それぞれの部門に目標が設定されるので全社の流れとのつながりを見失いやすく全体像を掴みにくくなります。よって部門間での対立が起きやすい構造といえます。
事業部制組織は同じ製品群を1つの事業部としてくくり、その事業部の中にあらゆる専門のメンバーが所属する形態の組織です。事業部が1つの小さな社内分社のようになっており、事業部間の情報や人の流れが少なくなりやすいという特徴があります。このことから、「無関心・非協力型」のセクショナリズムが起こりやすいといえるでしょう。
マトリックス組織は職能別組織と事業部制組織を組み合わせた組織形態です。一人の社員が部門と事業部の両方に所属します。例えばA製品の生産部門というような形です。マトリックス組織では部門と事業部のそれぞれに管理者がいるため常に両者の言い分のプライオリティーを考えながら仕事をする必要があり、意見が対立している場合社員が板挟みになってしまいます。
これらのように従来の縦の組織では構造的にセクショナリズムが発生しやすいということが分かります。
セクショナリズムの原因として 「不完全な情報共有」 があります。持っている情報に差がある場合見える景色も変わってくるでしょう。その差が大きければ大きいほど認知に差ができ対立が生まれる可能性が高くなります。組織内の情報の平準化に影響する要素として3つが挙げられます。
共通の情報源が多く、情報処理技術が乏しく、非公式の情報経路が多ければそれだけ情報が錯綜し、個人が持っている情報に差が出てきます。
構造上の位置付けが違えばそれに基づく考え方の相違で対立することがあります。また、資源の分配や自律と依存に関して対立することもあるでしょう。特に有限な資源を分け合うときや権威がある組織同士であれば対立はより大きなものになります。当事者に解決するための能力が備わっていない場合、対立は長引き泥沼化します。
組織内の関係が未熟で、誰が何をすべきでで何をすべきでないか明確に定義されていない場合、役割分担に関しての対立が考えられます。また、誰が誰に伝えるべきであるか等のコミュニケーションの伝達経路が不確かであるとトラブルが生じやすいでしょう。また、立場や役割が不確かな場合判断に迷いが生じたり勝手な行動を放置することにもなります。これらがストレスとなり責任を押し付けあうためにセクショナリズムが発生することが考えられます。
セクショナリズムの原因には 「縦の組織」「不完全な情報共有」「利害関係の対立や競合」「未熟な組織内関係」 の4つがありました。ではセクショナリズムをなくすためにはどのような対策をする必要があるのでしょうか。ここではそれぞれの原因に対応するための対策をご紹介します。
セクショナリズムの1つ目の原因は「縦の組織」でした。この問題を解消するためには組織の形を変えることが求められるでしょう。ではどのような組織の形を採用するべきなのでしょうか?ここで紹介したいのが 「ホラクラシー」 です。ホラクラシーとはヒエラルキーの対義語で、社内に役職や階級のないフラットな組織形態のことです。意思決定権が組織内で分散されるということでそれぞれがより大きな裁量をもち、自主的に仕事に取り組めるようになるという新しい組織管理体制・経営手法の1つです。ホラクラシーの組織形態には 「フラット化組織」「ネットワーク組織」「バウンダリレス組織」「タスクフォース」 の4つがあります。
フラット化組織とは、上司をリーダーという立ち位置に挿げ替えることで決定を組織全体のものにする組織形態です。従来の上司の決めたことを部下に指示し部下は指示通り動くといったものではなくなるため組織メンバーにゆだねられる意思決定事項が縦の組織の場合よりも多くなります。全員が意思決定者になりプレイヤーになることによって自律的な行動を可能にします。
ネットワーク組織とは複数の独立した組織がそれぞれビジネスを実行するために情報ネットワークで繋がっている形を言います。ビジネスが終了し、新しいビジネスを開始するとその連携も新しいものになります。また、組織の関係は契約に基づくビジネス的ものになりがちで、連携自体も緩やかなものになります。ネットワーク組織は独立した組織と組織の関係であり続けるので信頼関係が重要なファクターとなります。
バウンダリレス組織は全ての組織のトップマネジメントから現場までのタテの階層と、事業部間のヨコの壁の両方を意識しないようにして行うビジネスの形を言います。情報をお互いに共有することでこれらの壁を出来るだけ薄くしようという考え方です。また、マネージャーに組織全体の方向性と自分の組織の役割を理解させることで他の組織との壁を薄くすることができます。組織メンバーは組織の壁を意識せずに自分の仕事を遂行することになるので自らの情報収集能力が問われる組織だといえるでしょう。
タスクフォースとはある課題を解決するため、専門的な人々がある一定期間その組織のメンバーとして集まるというものです。リーダーがいる場合といない場合があります。後者の場合には特にメンバー同士での自己管理が必要になります。メンバーには自律的行動が要求され、どのようなアウトプットをもってチームの実績とするかを計画化することが大切です。
以上のように自律が必要になる組織編成を行うことによって組織間に上下関係やヒエラルキー構造が生まれにくく、セクショナリズムの発生を防ぐことができます。
セクショナリズムの原因として挙げられたのが 「不完全な情報共有」 でした。では「不完全な情報共有」を改善するためにはどうすればよいのでしょうか。その方法として 「独立情報源数を減らす」「ツールを導入する」 という2つを挙げることができます。
沢山の情報に触れることは大切ですが、情報を共有する場所は少ない方がいいでしょう。様々な情報が錯綜し、アクセス出来る情報と出来ない情報が人によって違う等の問題が発生します。情報を共有する場所は一元化して管理しましょう。
コミュニケーションツールを導入することによって情報を広範に共有し、非公式な情報経路を減らしましょう。誰もがフェアに情報を閲覧できるようなツールを導入することによって情報の不均衡を防ぐことができます。 コミュニケーションツールについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
このように1つのツールを共有することによって情報が一元化され、組織によって持っている情報が異なることによるトラブルを避けることができます。
セクショナリズムの原因として 「利害関係の対立や競合」 というものがありました。「利害関係の対立や競合」を抑えるためには 全ての組織が判断が公平であると認識する必要があります。
一口に公平と言っても様々な切り口があり、代表的なものに以下のようなものがあります。
また、組織において分配される報酬は給与だけではなく、昇進や地位、業績評価なども含まれます。
結果だけではなく、その結果に至るまでの過程も人々の公正・不公正の判断に影響を与えます。分配過程の公正は 「手続き的公正」 と呼ばれます。研究によって全く同じ評定結果であっても問題を解決するための手続きに対する コントロールの総量(過程コントロール) が高い方がその結果を公正なものとして判断しやすく、受容の割合も高いことが証明されています。他の実験でも当事者に意思決定をさせることよりもその意思決定の過程で当事者が意見を主張できる機会があることの方が結果が当事者によって公正であると判断されやすいということが分かっています。何かを決めるときには誰もが決定に至るまでに意見を言える体制である方が良いといえるでしょう。
「公正判断理論」 では人間は手続き的公正を判断するための要素として以下の6つから評価していることを示しています。
これらのルールを完全に満たすことは難しいかもしれませんがある程度満たされていれば公正と判断される可能性は高まるでしょう。 また、公正さの判断対象として
があります。これらの条件を満たした意思決定を行い公正さを保つことで不信感や疑心から生まれるセクショナリズムを解消しましょう。
セクショナリズムの原因として最後に挙げられたのが 「未熟な組織内関係」 でした。「未熟な組織内関係」を解決するためには 「解決マニュアルの作成」「資源の単一化」「ジョブローテーション」 の3つの施策が考えられます。
対立や競合が発生した場合、どこでどのように調整が行われるかについて、解消のための手順や手続きが解決マニュアルによって明示されていれば深刻になることはありません。標準化や文書化によって対立や競合は抑制することが出来るのです、しかし、過度なマニュアル化が進むと融通の利く行動がとれなくなり些末な規則に執着してしまう可能性があります。解決マニュアルは定期的なチェックを行い、物事に柔軟に対処できるものであるべきです。
同じような組織が複数ある場合には対立が起こっても関係が改善されにくいと言われています。それぞれの組織の役割がうやむやになるだけでなく、関係を続けることのメリットが小さくなることによってその関係を続けることに関心が向かなくなるからです。組織の役割を重複させないことがその対応策となります。
ジョブローテーションとは社員が様々な職能を体験するシステムです。専門性が薄くなるかわりにそれぞれの組織の役割や立ち位置を把握できるというメリットがあります。組織内の関係を理解しやすくなるため対立や競合が起きた際に仲介役となる能力が備わります。ジョブローテーションを行った社員は会社の全体像が掴みやすくなるため、仕事の分配や組織の管理をする必要がある管理職に就くときに役立つと言えます。
このようにセクショナリズムの原因に対して適切な処置を行うことによって組織間の対立を防ぎ、生産性の向上・同調圧力の緩和・離職率の低下を図ることができます。
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