「従業員サーベイの回答率を上げるには、どうすればいいのか?」
普段から従業員サーベイを実施しているが、回答率の低さを改善したいと悩んでいる管理者の方も多いのではないでしょうか?
人材の流動や多様性が高まる現代社会では、企業は従業員サーベイを効果的に実施しなければいけません。組織の課題を把握し分析や改善することで、従業員のエンゲージメントを高めなければ離職率が高まり、優秀な人材が確保できないからです。
この記事では、従業員サーベイの回答率が低い理由や回答率を上げるための方法、従業員サーベイをきちんと活用するための施策について解説します。従業員の負荷が少ない、おすすめのサーベイツールも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
従業員サーベイを実施した際、なぜ回答率が上がらないのでしょうか?回答率が低いと思われる5つの理由と、それぞれの対処法について解説します。
1つめの理由は、アンケートの設問数が必要以上に多すぎることが挙げられます。設問数が多すぎると回答者は集中力を切らしたり、意欲が下がるため雑な回答が増えたりしかねません。
多くのタスクを抱え忙しい業務時間中、従業員のサーベイ回答への優先順位は落ちてしまうでしょう。
サーベイの運営者側は、抜けや漏れがないようにとアンケートの設問数は多くなりがちです。反対に、設問数が少なすぎるのも項目間の相互関係がわからなくなり、分析に支障をきたす場合もあります。
サーベイ実施の際、アンケートの設問数は多くもなく少なくもなく、バランスよく設定するのがポイントです。
目安としては、1週間や1か月ごとの高頻度で実施する場合は10問程度、年1回の低頻度で実施する場合は50問程度が適量でしょう。
2つめの理由は、サーベイが戦略的に実施されていないことが挙げられます。アンケート実施の際は、他のアンケートと関連性を持たせたり、繁忙期との兼ね合いを調整したりする工夫が必要です。
例えば、先週はハラスメント調査、来週は従業員満足度調査、次月はストレスチェックとなると一貫性に欠け、従業員の回答が雑になっても仕方ありません。
従業員サーベイは、戦略的に実施する必要があります。有効なのが「パルスサーベイ」と「センサス」の活用です。
パルスサーベイとは、簡単な質問を高頻度で実施することで、以下の特徴があります。
●調査内容:5~15問のアンケート調査、選択肢あり
●頻度:1週間や1ヵ月ごと
●規模:部署ごとなど小規模
●用途:変遷を追うのに適している
一方、センサスとは多量の質問を低頻度で実施することで、以下の特徴があります。
●調査内容:50問以上、自由回答が多い
●頻度:1年に1回
●規模:会社全体、大規模
●用途:包括的で抽象的な内容の調査に適している
実施目的、実施頻度、分析から改善にどう役立てるかなどを事前にイメージしたうえで、戦略的にパルスサーベイとセンサスを実施しなければいけません。パルスサーベイは適切に実施すると、問題の早期解決や従業員エンゲージメントが高まるなどのメリットが得られます。
パルスサーベイについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
3つめの理由は、サーベイ実施後のフィードバックがないことが挙げられます。「アンケート結果を確認して終わり」では、忙しい業務の合間で回答した人からすると、アンケート実施の目的がわかりません。これでは、次回以降真面目に取り組む気にならないでしょう。
従業員からすると、回答したことに対して会社がどのように対応してくれるのかが気になります。自分のことを、会社はどれだけ見てくれているのかを知りたいのです。適切なフィードバックがあれば、会社は自分を大事にしてくれていると感じ、貢献意欲も高まるはずです。
従業員サーベイによって明確になった課題と解決策は、言語化したうえで従業員にしっかりとフィードバックすることを心がけてください。
4つめの理由は、本音で回答しにくい雰囲気が社内にあることが挙げられます。自由にモノが言えない社風では、ネガティブに回答すると自分の評価を下げられるのではという心理が働いてしまうからです。
●上司との関係性が良くない
●異動したい
●職場の雰囲気が悪い
上記のようなことを実名で書くのは、だれでも躊躇するでしょう。仮に匿名でも、部署や入社年、性別などがわかるアンケートでは、回答者が容易に特定されてしまいます。結果、当たり障りのない内容になってしまうことも少なくありません。
「集計は第3者に任せて個人を特定するようなことはしない」、と経営層があらかじめ伝え、従業員が安心して回答できる雰囲気をつくることが重要です。
5つめの理由は、経営層の本気度が足りないことが挙げられます。
●アンケート結果を真摯に受け止めようとしない
●あきらかに改善すべき点に対して着手しない
●都合の悪い内容は隠そうとする
もし経営層が上記に該当していれば、サーベイ自体が逆効果になりかねません。取り組めば、従業員の不満や不信感が増すだけです。
従業員満足度調査で本音を知ることは、経営層にとっては覚悟が必要になります。不平や不満が、従業員から噴出する状況もあり得るからです。
サーベイを実施する運営者側も、批判的な意見が出る可能性について事前に経営層に伝えなければいけません。経営層は真摯に現実を受け止め、会社をよりよくするために経営を続けていく責任があるからです。
では、従業員サーベイの回答率を上げる具体的施策はあるのでしょうか?5つの効果的な方法について、見ていきましょう。
サーベイを実施する側は、できるだけ従業員が本音で回答できるように工夫しましょう。サーベイ実施の目的を明確にしたうえで、以下を心がけてください。
●アンケートの質問では、公正・公平な表現にする(特定の回答に誘導させるような表現は避ける)
●前回のサーベイと同じ質問事項を適量に入れる(結果の定点観測をおこなうために有効)
また、「人事評価に影響しないか」「上司の機嫌を損ねないか」など従業員の不安を取り除き、本音で回答できる環境も用意しなければいけません。従業員の不利益にならないように、匿名で実施する配慮もときには必要です。
従業員の負担にならない実施頻度や、回答期間に設定しましょう。サーベイの実施は組織改善に役立ちますが、頻度が多すぎると業務に支障をきたし不満の原因になりかねません。また回答期間が短ければ、回答する従業員から落ち着いて考える時間を奪ってしまい、回答の質を下げてしまいます。
事前にサーベイに対する戦略を練りスケジュール立てしたうえで、従業員の負担に配慮しながら適切に実施しましょう。
サーベイ実施後は、速やかに回答結果を分析し課題を明確にしましょう。そのうえで、結果と対策についてフィードバックして社内で共有します。
速やかな分析と社内共有は、以下の効果をもたらします。
●課題の早期発見で対策の手が打てる
●現場の状況が正確に把握できる
●改善のためのアイデアが生まれ、業績が向上する
サーベイの回答率を上げるには、ITツールを有効に活用しましょう。回答する従業員の視点で、負荷がかからない方法を選択できるからです。ITツールは運営者側と回答者側双方に負荷がかからないため、活用する企業が急速に増えています。
たとえばSlackを利用する場合は、従業員全員を特定のチャネルに招待し、アンケートを回答した人から順次抜けてもらうなどが可能です。また、GoogleFormsではスマホから簡単に回答できます。
個々のタスクが増え業務が煩雑になりがちな現代の職場において、サーベイを成功させるためにはITツールの活用は欠かせません。
アンケート回答前の適正なタイミングでリマインドし、従業員に回答を促しましょう。リマインドには、以下の方法が挙げられます。
●リマインドメールを送付する
●所属長が回収状況を共有しながら現場で声掛けする
社内には少なからず回答を忘れている人もいるため、効果的なタイミングでリマインドメールを送付するだけで回収率は自然に上がります。
配信のタイミングについては、配信の1~2日後が休日と重ならないこと。リマインドメールを配信すれば、その1~2日後は回収が増えます。配信後の1~2日が休日と重なってしまうと、回収率が落ちてしまうためです。
もう1つは、締め切り間際のタイミングで配信すること。アンケート回収では期限最終日の回収率が上がりますが、後回しにする従業員も一定数存在します。これらの従業員をカバーするには、締め切り間際のリマインドメールや所属長からの声掛けが効果的です。
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従業員サーベイは、適切に活用しなければ効果は表れません。活用するうえでの4つの施策について解説します。
サーベイ実施の目的や意図を従業員にしっかりと伝えましょう。何のための調査か、その結果をどのように活用するのかをわかりやすく伝えます。従業員の理解を得たうえで実施すれば、調査結果は有益なものになるでしょう。
従業員サーベイは、主に以下の目的で実施されます。
●従業員のセルフケアにつなげる
●組織課題を把握して改善のための行動につなげる
●従業員満足度の向上で、エンゲージメントを高める
●従業員エンゲージメントが高まることで、主体性がうまれ生産性が向上する
●従業員のモチベーションを高め、離職率低下につなげる
最終的には、従業員にサーベイを通して会社で働くメリットを感じてもらいます。その結果、会社側も生産性や業績が向上するなどのメリットを享受することが理想です。
サーベイ実施後は、速やかに従業員への説明会を開催しましょう。分析結果や問題点、改善のための行動指針などを共有するためです。納得のいく説明をすることで従業員は回答した意義が理解でき、サーベイ定着につながります。
従業員への説明会では、以下6つのポイントを意識してください。
1.サーベイ実施の目的や意図をあらためて伝える
2.分析結果をできる範囲で公開、共有する
3.結果に対してフィードバックする
4.優先順位を明確にして、今後の施策を伝える
5.結果を受けて感じた、経営陣の想いを伝える
6.質疑応答を忘れない
説明会では現状の問題を認識し、従業員全員で解決に向けて決意する場にしなければいけません。そのためには従業員への丁寧な説明と、些細な声にも耳を傾ける姿勢が大切になります。
「エンゲージメントサーベイ」とは、従業員の企業に対する愛着や貢献意欲を可視化すること。現状の組織課題の分析と改善で、従業員のモチベーションを高める目的で実施します。
エンゲージメントサーベイを実施する3つのポイントについて、見ていきましょう。
エンゲージメントサーベイは、会社と従業員との信頼関係強化に主眼を置いているので、個々に対する細かい配慮が必要になります。
従業員の待遇改善だけが、目的ではありません。上司部下間のコミュニケーションを円滑にして、有効な施策を掘り下げる必要があります。
たとえば部署内で、同世代と比べて成長が遅いと感じ悩んでいるメンバーいる場合。劣っている点と優れている点を客観的に洗い出し、優れている点の強化策と劣っている点の改善策について、一緒に考えてあげる姿勢が大切です。
従業員満足を重視するあまり、待遇改善だけで運営者側が満足してしまうケースも少なくありません。しかし、待遇改善だけでは真の信頼関係は生まれません。待遇に対する要望に、終わりはないからです。
エンゲージメントとは、企業と従業員とが強い絆で結ばれている状態のこと。双方が理解したうえでコミュニケーションを重ね、そのうえで従業員が安心して働ける施策が大切になります。
一時的なエンゲージメントサーベイでは、従業員の価値観の変化に対応できません。定期的に、継続して実施することが大切です。企業を取り巻く事業や労働環境は、以前では考えられないようなスピードで変化しているからです。
エンゲージメントサーベイに継続して取り組むことで、「好きだから辞めたくない会社」へと変わり、主体性のある人材が定着する会社になるでしょう。
エンゲージメントサーベイについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてください。
▶︎エンゲージメントサーベイとは?具体的な質問項目と実施方法を解説
サーベイを調査する側にとっても手間がかかり負担になっているケースが少なくありません。従来と比べて、より個の把握や複雑な組織課題の分析が必要になってきているからです。
経済産業省主催の人材マネジメント協会では、「貢献意欲・エンゲージメントについて、従来と今後の違いが以下のように述べられています。
<従来>
●年1回の従業員の意識調査で、報酬や福利厚生を中心に社員満足度を把握
●離職率は低く、エンゲージメントは重視されず(「嫌だけど辞められない」会社)
<今後>
●HRテクノロジーを活用し、「個」の把握、組織の課題分析・改善を加速
●エンゲージメント強化を通じた人材確保、業績向上(「好きだから辞めたくない」会社に)
回答者だけでなく調査する側の難易度も上がり、負担が増えていることがわかります。課題把握だけにとどまらず、課題分析や解決策まで提示してくれるツールやサービスの活用が、今後は有益になるでしょう。
▶︎従業員の不調に素早く対処!従業員のサーベイ回答負担を増やさず、リアルタイムに不調を検知
従業員の負荷が少ないサーベイとは、どのようなものが挙げられるのでしょうか?回答する側と調査する側それぞれの視点で、見ていきましょう。
回答者側にとって負荷が少ないのは、実施するタイミングを意識したサーベイです。組織が立ち上がって間もない時期なら回答しにくかったり、年度末の繁忙期では業務に追われているため負担になったりします。
実施する組織を選定したうえで、部署ごとの繁忙期を避けてサーベイを実施することで、回答者側の負担を減らすことができます。
また、サーベイの実施頻度や回答期間に配慮することも必要です。あらかじめ戦略を練ったうえで、パルスサーベイとセンサスを効果的に使い分けると良いでしょう。
サーベイで調査する側の負担を減らすには、ベンダーが提供しているサーベイツールを活用することです。設問の設定や調査実施、分析やフィードバックまですべて自社ですると、担当者にとって大きな負担になるからです。
ベンダーが提供する多くのサービスはクラウド上で管理されているため、調査する側、回答する側双方の負荷を格段に減らすことが可能です。自社の目的に合ったサービスを利用することで、課題改善のサイクルを高速で回すことができるでしょう。
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以上、従業員サーベイの回答率や活用のポイントについて解説しました。従業員サーベイを実施する際の、参考になったでしょうか。
従業員サーベイの回答率を上げ、運営者側と回答者側双方の負荷を減らすためには、ITツールの活用が欠かせません。
そこでおすすめなのがwelldayです。welldayは、従業員の働きがいとストレスレベルを週次で可視化することで、仕事に影響が出る前に従業員の不調を察知することが可能です。welldayに興味のある方は、気軽にお問合せください。
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eNPS活用のポイントを徹底解説
▶︎eNPSとは?調査方法や上手に活用する方法を解説
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