理想的な組織像として掲げられることも多い「風通しの良い職場」とは、具体的にどのような組織のことを言うのでしょうか? 本当に働きやすい環境づくりのためには、「風通しの良い職場」であることにどんな意味があるのか、メリット・デメリットの双方を理解したうえで環境や制度を整えていく必要があります。 この記事では、「風通しの良い職場」に共通する特徴や必要となるコミュニケーション、メリット・デメリットから取り入れやすい具体的な取り組み例までわかりやすく解説します。
【主なトピック】
【こんな方におすすめ】
“風通しの良い職場”とは、自分の意見を率直に言いやすく、役職や立場を問わず社員同士の意見交換が活発な組織のことを言います。
風通しの良い職場に共通する特徴として、主に以下の3つが挙げられます。
1.人間関係が良好であること
2.意見を言いやすい環境であること
3.コミュニケーションが活発であること
それでは、これらの特徴について詳細を見ていきましょう。
明るい雰囲気の中で社員同士が良好な人間関係を築けていることは、風通しの良い職場の基本です。
誰かの失敗を責める、成功を妬む、強い口調で命令をする、何を言っても否定される……このような重圧的な雰囲気の中では、萎縮してしまいストレスを感じてしまいます。
人間関係が良好な職場では、お互いを認め合い、助け合おうという文化があります。自分に無理のないコミュニケーションがとれるため、本音で意見交換をしやすい雰囲気が生まれるのです。
風通しの良い職場では、役職や立場と関係なく、自分の意見を伝えやすい職場環境があります。
普段からメンバー間で意思疎通を図る機会がなく、先輩社員や上司からは指示の連絡しかなかったり、一人で孤立して業務を行っていたりすると、何か困ったことがあっても相談することをためらってしまうことがあるかもしれません。
良い意味で上下関係がフラットであることも重要です。役職や年齢、経験値などが過度にコミュニケーションに反映されてしまうと「自分はこんなことを言える立場ではない」という想いから、若手社員ほど意見やアイディアを率直に伝えにくくなってしまうためです。
立場を問わずそれぞれの意見を受け入れて認める風潮があれば、上からの指示を待つだけでなく一人一人が主体性を持って伸び伸びと働くことができるようになるでしょう。
活発なコミュニケーションは、挨拶を交わしあう、ちょっとでも悩みがあれば気軽に同僚や先輩社員に相談できる環境の中で生まれるものです。
何か特別なことがあったときだけ会話をするような関係性の中では、コミュニケーションが停滞してしまい情報共有がスムーズに行われません。
日頃から声を掛けあう明るい雰囲気の職場であれば安心感を持ちやすく、自ずと社員同士で様々な意見交換や情報共有が行われるようになってきます。
風通しの良い職場であることは組織に多くのメリットを与えますが、一歩間違うとデメリットになってしまう危険性もゼロではありません。本項では、風通しの良い職場のメリット・デメリットについてそれぞれ解説していきます。
多くの社員が議論に参加することによって、組織が目指す成果や目標達成など目的の実現に向けた様々なアイディアが生まれます。個人では気がつかなかった課題や改善策が出されるため、チーム一丸となって組織改善を促進することができるでしょう。
自分の意見がきっかけで組織が良い方向に進んでいることを実感できると、モチベーションの向上につながります。「組織に対して何かプラスの働きをしたい」「チームを助けたい」といった貢献意識が生まれ、生産性があがっていくという好循環が期待できます。
不明点を確認しやすいため「分からないために動けない」と言った状況も少なく、各自で円滑に業務を進めていくことができるでしょう。
情報共有の面では、会社のビジョンなどの情報がしっかりとメンバーにまで浸透していると、仕事を進める中での齟齬が起こりにくくスムーズに業務を進めていけるのもメリットのひとつです。
風通しの良い職場では、ミスやトラブルが発生した際に早急にエスカレーションがあがることで、迅速にトラブル対応や軌道修正ができるという利点もあります。
何か問題が起きたときでも素早く解決をしていける職場環境であれば、メンバーも安心して働くことができるでしょう。
厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」を見ると「職場の人間関係が好ましくなかった」という結果が目立ちます。
以下の表は、「転職入職者が前職を辞めた理由」より20~40代を抜粋し、各年齢区分の中で最も回答割合の高い理由を一覧にしたものです。※「その他の理由(出向等を含む)」を除く
周囲と協力し合って仕事における悩みを解決しやすい職場づくりをすることで、社員の離職を食い止められる可能性も多いにあり得ます。
フラットな関係性の中で自由に意見を言い合えるのは素晴らしいことですが、あまりにも追求しすぎると職場の緊張感がなくなってしまうリスクがあります。
気の緩みから業務に関係のない話が長くなり勤務態度がルーズになったり、全員の意見を取り入れようとして話がまとまらずに結局中途半端な状態になったりしてしまう可能性があります。また、「なんでも言っていい」という風潮から、感情的な発言を許容してしまうムードになるのも望ましくありません。
本末転倒な結果にならないためには、組織のリーダーが適切に舵をとり、メリハリのあるコミュニケーションがとれるように留意していく必要があります。
社員の中には、人と話すのが苦手なタイプや活発な意見交換を好まないタイプの人もいるかもしれません。じっくりと考えてから結論を出したいのに、会議の場などで周囲がどんどん意見を出していくことに圧倒されてしまうケースもあるでしょう。その結果、居心地の悪さを感じてしまう可能性が考えられます。
無理に発言を強要することのないように、誰もが積極的に意見を発信していきたいタイプではないことを念頭に置いて、意見を吸い上げる工夫をするよう心掛けましょう。
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前項に挙げたデメリットをカバーしながら、理想的な風通しの良い職場をつくるためにはどのようなコミュニケーションが必要となるのでしょうか。いくつかポイントをご紹介します。
社員が守るべき、会社の方針やルールについては明確に提示するようにしましょう。
いわゆる“暗黙の了解”のようなはっきりしない決まりごとがあると「これをすると叱られるのではないか」という不安を生んでしまいます。何をしてはいけないのか・何をして良いのかが明確に判断できるようになれば、働きやすさがアップするはずです。
オープンにしても問題ない情報であれば、なるべく多くの情報をメンバーに開示すると良いでしょう。そうすることで業務に意味を感じやすくなり、組織の一員としてのエンゲージメントの向上も期待できます。
仕事に対する緊張感の欠如は、生産性の低下に直結してしまう可能性があります。例えば、遅刻が増える、私語が多すぎるなど、メンバーの勤務態度にルーズさが垣間見えた際は上司やリーダーが率先して正していく必要があります。
メリハリをつけるために、仕事とは別に親睦を深められるような歓送迎会やランチ会といった社内イベントを企画するのも一案です。
また、身勝手な振る舞いや人として礼儀に反するような行為、職場の雰囲気を壊すような言動は厳しい態度で注意すべき事柄です。組織として必ず守るべきルールとして、周囲への気遣いをすることは一貫して伝えていくようにしましょう。
前述のとおり、人前で話すことを好まないタイプの人が居心地の悪さを感じないように気配りが必要です。
メンバーの意見を吸い上げたいときには、対面での会議でのヒアリングだけでなくメールやチャットツール、匿名アンケートなど非対面で意見を聞く方法も視野に入れましょう。
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最後に、風通しの良い職場づくりのための取り組み例を6つ紹介します。できることから取り入れて風通しの良い職場の実現、維持を目指しましょう。
シンプルながら、挨拶は相手との距離感をぐっと近くしてくれるもの。
「〇〇さん、おはようございます」「〇〇さん、お疲れ様でした」と名前を付けて挨拶するだけで、声をかけられた側は自分の存在を認めてもらえていると感じ、「一人ではない」という安心感を持つことができます。
社内の風通しの良さや職場改善について、匿名アンケートなどで定期的に社員の意識調査を行うのも良いでしょう。
アンケートを実施する際は、実施の目的や共有結果も公表するようにしましょう。アンケートで明らかになった問題や不満に対して、優先度をつけてチームで解決のために施策を講じていくことで、個人の課題に対してチームで問題解決に取り組む風土づくりの醸成にも役立ちます。
社員同士の親睦を深めるためには、バーベキュー大会や歓送迎会、キックオフなど業務から離れてみんなで楽しめるような社内イベントを企画・開催するのもおすすめです。
業務外で長時間拘束されるのはハードルが高いと感じるメンバーに配慮するなら、ランチ会や朝会など時間をかけずに交流の場をつくるのも良いでしょう。その他、希望者のみが参加できるサークル活動を取り入れる方法もあります。
少しでも迷う点や困っていることがあれば、気軽に相談できる環境づくりも大切です。気分転換をするために適度な休憩を推奨し、たまに自席を離れ社員同士で雑談できるような職場環境をつくると、ちょっとしたことを相談しやすい雰囲気が生まれます。
また、上司と部下が1対1で話す時間を設ける「1on1ミーティング」や、先輩社員が後輩社員の相談に乗る「メンター制度」を導入するなど、些細な不安や疑問を解消できるような仕組みづくりに取り組むのも良いでしょう。
社員が個人のデスクを持たずに空いている席を自由に使う「フリーアドレス制度」を導入することで日常的に部署や役職を超えたコミュニケーションを促すことができます。
毎日座る席が決まっていると、どうしても限られた人との会話に偏りがちですが、自分が日頃行っている業務とは違う仕事をしている人と話すことで新たな視点を持つこともあるでしょう。
社員同士の対面でのコミュニケーションの機会が少ないようであれば、チャットができるアプリなどのコミュニケーションツールを導入するのも有効です。
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一般的には好感度の高い印象のある「風通し良い職場」。しかし、一定の節度を守らなければデメリットにも転じてしまうこと、オープンなコミュニケーションに抵抗を感じるメンバーにはプレッシャーを与えてしまう可能性があることなどがわかりました。
メンバーの個性を重視し、一人一人の居心地の良い職場環境をつくっていくためには組織の特徴にあった方法で風通しの良い職場づくりに取り組んでいく必要があります。
「wellday」は、メンバーへのアンケートやサーベイを実施せずにリアルタイムでのメンバーごとのコンディション管理と組織の状態に合わせた課題解決に役立つエンゲージメント改善サービス。「風通しの良い職場」を実現し、快適な職場環境を整えるために、ぜひお役立てください。
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