働き始めると「モチベーション」という言葉をよく聞くようになります。社員のモチベーションを向上させることによって離職率を低下させ生産性を向上させる効果が期待できます。今回の記事ではモチベーションの定義や社員のモチベーションを向上させる方法などを詳しく解説していきたいと思います。
よく聞く「モチベーション」という言葉ですが、正しく意味を理解できているでしょうか?なんとなく使っている人も多いかと思います。ここではモチベーションの定義や種類を確認します。
モチベーション(motivation)は、日本語に直すと「意欲」「動機」などの意味になります。主に「行動を起こす契機となる刺激や意欲」といったニュアンスで用いられることが多いようです。
「モチベーション」と似た言葉に「やる気」という言葉があります。混同して使われやすい言葉ですがこの二つにはどのような違いがあるのでしょうか。 モチベーションとは動機を与えること、つまり欲求を行動に変えるプロセスと言い換えることができます。それに対して、やる気というのは行動をし続けるためのエネルギーと捉えることができます。つまりモチベーションは行動する動機・理由なのに対し、やる気は行動をしようという気持ちや意欲だということです。社員に業務へのモチベーションを与えることで社員のやる気は維持されます。
「動機付け」という意味のモチベーションは3種類に分けることができます。それは生理的動機、親和動機、達成動機の3つです。その特性を1つずつ説明していきます。
生理的動機とは「生命を維持し、種を残したい」という生物として根源的な欲求です。生理的動機を重視する人は働く理由を「生理的な欲求が満足されるから」と考えます。この時、行動は必ずしも直接生理的な欲求を満たすものではなく最終的には欲求を満たすものであると言えます。つまり、働くことが欲求を満たすことなのではなく、働いて報酬を得て経済的に余裕のある生活をすることで生命の維持を確実にして初めて欲求を満たすことができるということです。
親和動機というのは「仲間に存在を認められ、仲良く行動をともにしたい」という欲求です。ある実験では物理的な報酬や労働条件よりも職場の人間関係の方が生産性に大きな影響を与えるということが証明されています。例えば子どもが学校に行く理由を、勉強すると報酬が得られるからではなく、仲の良い友達に会えるからだということと同じだと考えると分かりやすいでしょう。
達成動機とは「目標に向かって何かを成し遂げたい」という欲求のことを表します。「やりがい」のある課題を求め、仕事を通して自己実現をはかりたいという気持ちが達成動機にあたります。
以上のようにモチベーションは3つの種類に分けることができます。マズローの階層性理論によれば人間の欲求は階層があり、低次の欲求が満たされるとより高次の欲求が現れます。生理的動機は最も基本的な低次の欲求です。その次が親和動機、さらにその上の階層に達成動機が存在します。
社員のモチベーションとして一番最初に思いつくのは金銭などの報酬でしょう。では報酬や褒賞などのモチベーションは常に社員の生産性を上げるといえるのでしょうか。組織心理学の研究者デシが行った実験では大学生の課題に報酬を与えた場合と与えなかった場合を比較すると与えなかった場合の方が興味を持って熱心に取り組み続けたという結果が出ています。このように自発的に行っている活動に報酬を伴わせることによってその活動が報酬を得るための手段になってしまうことがあり、この現象をアンダーマイニング効果と呼びます。このように、必ずしも報酬というモチベーションは生産性を上げることには繋がらないことが分かります。
では報酬を上げる以外で社員のモチベーションを向上させるにはどうすればよいでしょうか。ここでは5つの方法を提案します。
優れたビジョンには以下の6つの特性があるとされています。それは以下の6つです。 __1.簡潔であること 2.明快であること 3.ある程度抽象的であること 4.チャレンジングなこと 5.未来志向であること 6.ぶれないこと 「目的に向かって何かを成し遂げたい」という達成動機を促すためにはまず目的を把握させることが重要です。3番目の「ある程度抽象的であること」という項目に疑問を抱く人も多いかもしれません。ビジョンを伝える際、あえて抽象的な言葉や比喩表現を使い社員にイメージを抱かせることによって理解してもらいやすく、覚えやすくなります。
ワークライフバランスという言葉が叫ばれて久しい現代社会ですが、「ワークライフバランス」について正しく理解しているでしょうか。内閣府は「ワークライフバランス」を「生活と仕事の調和」としています。つまり、生活と仕事をはっきりと二つに分けるのではなく、生活に合わせた仕事を自分で選択することで生活に仕事を含有させる事が大切だということです。また、ある学術論文でもプライベートでの自分と会社での自分のペルソナが一致している状態の方がエンゲージメントが高いという調査結果が出ています。
(参考)http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html
エンゲージメントについてはこちらの記事をご覧ください。
達成動機の強さには個人差がありますが、必ずしも先天的なものではありません。企業の「風土」や「文化」が社員の活動の主体性を尊重し、達成的な行動が推奨されるものであればその中で社員の達成動機ははぐくまれていきます。社員を報酬によって統制するのではなく、やりがいのある課題を与えて達成を促すことで成長体験をさせることが求められます。
親和動機から、良好な人間関係がモチベーションの向上につながることが分かります。サンクスカード等の施策を行うことで社内のコミュニケーションを活発化させ、強固な信頼関係を築くことが大切です。 サンクスカードについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
言葉の力には目を見張るものがあります。内容は全く同じものでも言い方が異なることで印象や与える影響は大きく変わってきます。ではどのような言葉選びを心がける必要があるのでしょうか。次の章で詳しく説明したいと思います。
どんな仕事も言葉なしには行うことができません。社員のモチベーションを向上させるためにはどのようなことを心がけて言葉選びをする必要があるのでしょうか。ここでは4つのポイントを紹介します。
誰にとっても否定されることは嬉しいことではありません。特に釈明の余地を与えられず頭ごなしに否定されると社員は怒られるのを忌避して問題を隠すようになります。これでは風通しの良い会社にならず、親和動機が満たされません。親和動機が満たされなければより高次の欲求である達成動機も満たされず、目標を達成したいという意欲も失われてしまいます。
例えば社員が失敗してしまった時、その原因を問うのが「why」です。「why」ばかり問うと欠点や失敗を振り返るものになってしまいます。確かに原因を究明することは大切ですが、そのあとにその改善方法、「how」を問うことが大切です。その問題はどうすれば改善できるのか、欠点を直すためにはどうすればよいのかを社員に問いかけることで達成動機を促進させることにつながります。
前の章でも紹介しましたが、ビジョンを提示することは社員のモチベーションを向上させるための重要なファクターです。ビジョンというゴール地点を把握することは自分の現在の立ち位置を知ることにもつながります。現在の位置と目標地点を知らせ、そのギャップを掴ませることで社員に達成動機を与えることができるでしょう。
自由な意思が尊重されることによって会社で受け入れられているという自覚が強まります。これは親和動機を高めることにつながります。また、一方的に自分の意見を聞かせるだけでなく、社員に問いかけることで社員の自分で考える力を養うことができます。目標を自分で決めさせることで達成したいという意識は高まります。
以上の4つのポイントに心がけた言葉選びを日常的にすることによって社員のモチベーションを向上させることに繋がります。
以上では社員のモチベーションを向上させる方法について説明しました。この章では独自の施策によってモチベーションがアップした事例を紹介したいと思います。
「星野リゾート」は従業員がアイデアを出し合い「熟年女性のマルチオケージョン温泉旅館」というコンセプトを決めたことによって納得のいく目標を共有することが出来ました。目標が従業員たちによるものであることによって自発的で積極的な行動につながります。 (参考)https://www.dhbr.net/articles/-/2745?
「cybozu」(サイボウズ)では多様な働き方を尊重することで社員のワークライフバランスを支えます。また、誕生日会や部活動を支援し促進したり、「感謝課」を設置したりなどの独自の施策によって社内のコミュニケーションを活性化させています。 (参考)https://cybozu.co.jp/company/work-style/
「面白法人カヤック」では全員が人事部に属することで「採用・評価・給与」に関われるようになっています。また、自由な相互フィードバックを公開することで風通しの良い社風を維持しています。そのほかにもユニークな活動を行い上下関係にとらわれない自由な文化で社員のモチベーションを高く保っています。 (参考)https://www.kayac.com/company/institution
社員の中でも特に新入社員はバーンアウトしがちです。バーンアウトは俗にいえば燃え尽き症候群のことです。特に秋ごろになると自分のやりたかったことと会社の業務に乖離を感じてしまう新入社員が多いようです。では特に新入社員のモチベーションを向上させるためにはどのようなことに気を付ければいいでしょうか。
成長や問題点をタイムリーに拾ってあげることによって自分の存在が会社に認められているという自覚を得ることができます。会社への帰属意識が高まることによってエンゲージメントも上がり、生産性の向上にも繋がります。
1on1を実施する等の活動によって信頼関係を築くことを心がけましょう。この時、できるだけ問いかけを増やし、新入社員自身に喋らせましょう。自分の話を聞いてくれるという実感によって親和動機が満たされます。また、新入社員の目線に立って同じ景色を見ることによって業務における問題点を解決するための糸口を見つけやすくなります。問題点を見つけ社員に伝えることによって、問題点を改善するという目標ができた社員は達成動機を持ちやすくなります。
心理的安全性とは大まかに言えば会社の風通しのことです。風通しの良い会社を作ることによって自分の存在が認められているという実感が得られ、親和動機が満たされます。拒絶される心配がないと問題をそのままにしたり、隠したりすることもなくなるでしょう。心理的安全性を高めるためには失敗に対して寛容になることが求められます。新入社員のうちは失敗も多いものです。失敗を否定せず、次につながるようにアシストしてあげることで心理的安全性を高める努力をしましょう。
心理的安全性については詳しくはこちらの記事をご覧ください
モチベーションは常に変化していくものです。欲求や価値観が変化したりすることで仕事に対する取り組み方も変わってくるでしょう。社員のストレスやエンゲージメントの変化に機敏になることで社員がどのような種類のモチベーションを重視しているかが分かります。重視しているモチベーションの種類によってアプローチを変えることによって社員の生産性を効果的に上げることができます。社員のストレスやエンゲージメントを簡単に測れるツールが「wellday」です。
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モチベーションが下がっている社員をタイムリーに把握することで対策がしやすくなり、社員のモチベーションを維持することに繋がります。
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