「自分でも気づかないうちに、マイクロマネジメントをしすぎてしまっていないだろうか?」
「自分のマネジメント方針は間違っていないだろうか?」
このように悩む管理職の方も、多いのではないでしょうか?
過度なマイクロマネジメントは部下の主体性を奪ってしまい成長を遅らせるのでNGだと言えるでしょう。しかし、相手の力量やタイミングによっては必要な場合もあります。
この記事では、マイクロマネジメントしがちな管理職の特徴や、マイクロマネジメントのメリットとデメリットについて解説します。合わせて、過度なマイクロマネジメントにならないための対策についてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
まずは、マイクロマネジメントの定義について、正しく認識する必要があります。
マイクロマネジメントする理由や背景、マイクロマネジメントの対義語についても合わせて見ていきましょう。
マイクロマネジメントとは、管理者である上司が部下に対して強い監視や管理するマネジメントのことで、一般的には否定的に用いられます。部下の立場では「過剰にマイクロマネジメントが行われている」と感じていても、上司側は気づいていないこともあります。
マイクロマネジメントの具体例を挙げると、以下の通りです。
・部下がメールする時は常にCCを付けさせ、文面をチェックする
・業務の進捗報告を頻繁に求める
・指示通り100%実行するように指導する
上司側からすると、部下を執拗に管理したいわけではありません。部下の先にはお客様がいて、お客様の信頼を失ってはいけない一心からマイクロマネジメントになってしまうケースも少なくありません。
しかし、行き過ぎたマイクロマネジメントは部下の主体性を失わせ、結果としてチームの成長を阻害させる要因になりうるのです。
マイクロマネジメントしてしまう、2つの理由を解説します。
マイクロマネジメントする理由の1つめが、上司自身の不安によるものです。
上司である自分の評価に直結する部下のミスは、避けたいと思う心理が働くからです。
例えば自社からの売上が大きいお客様を部下が担当している場合、対応が適切でなければお客様から信頼を失い、大きく売上を落とすかもしれません。会社全体の数字に影響すれば経営陣から責任を問われるのは上司である自分なので、何とか売上低下の事態を避けようと必死になります。
そのような心理から、必要以上に細かく指示したり報告を求めたりするのです。
2つめの理由は、上司の自己顕示欲が挙げられます。
自己顕示欲とは、周りの人間に認められたい心理から目立とうと思う欲求で、過去の栄光から自分に対して自信がある上司ほど、この傾向が強くなります。
自己顕示欲の強い上司は、考え方やライフサイクルまで、部下が100%自分と同じようにすることを強要してしまいます。自分が100%正しいと思い込んでいるので、部下に対してマウントを取っていることに気が付きません。
マイクロマネジメントする上司が増えている背景については、最近の仕事環境の変化も影響しています。
環境変化による3つの影響について見ていきましょう。
テレワークの普及により部下の行動すべてが見えなくなることが増えてきました。部下が仕事しているかが気になる上司は、「カメラを常にONにするように」や「1時間に一度はメールで業務状況を報告すること」など無茶を要求する現象が増えています。
働き方改革によって部下を残業させるのが難しくなってきました。部下を残業させず帰社させた後も、残った仕事を上司は片付けなければなりません。
そのような状況では、管理職自身業務をこなすだけで目一杯となり、部下を育成する余裕がなくなってきています。育成の余裕がなくなった管理職は、部下に対して言われた通りに仕事させる状況に陥っているのです。
コロナ禍で転職活動に踏み切る人が増え、中途採用者を部下に持つ管理職も少なくありません。
中途採用は前職の経験から自社に新たな風を吹かせるメリットがある一方で、前職のやり方に固執し、自社にフィットするまで時間がかかってしまうケースも見られます。
例えば、営業の戦力強化のため中途採用した部下を持つ、新規開拓チームの管理職の場合。
部下の前職はとにかく営業マンが足で稼ぐスタイルでしたが、自社は分業制でインサイドセールスと外回り営業マンが協働するスタイルです。この場合、前職の営業スタイルに慣れている部下に対して、早く戦力化したいあまりに自社の営業手法をすべて教えようとしがちです。
このような中途採用人材の戦力化を急ぐあまり、マイクロマネジメントになってしまうケースも増えてきています。
マイクロマネジメントの対義語が「マクロマネジメント」です。
マクロマネジメントの定義は、「チームの方向性を示したうえで部下の自主性を重んじ、手法は任せてモチベーションを高めること」になります。
部下の人数が増えてくると、一人ひとりに細かく指示を出すのは現実的に不可能です。その場合、マクロマネジメントを取り入れるのは、自然な流れと言えるでしょう。
マクロマネジメントを適切に行うポイントは、以下の通りです。
理念やビジョンを繰り返し発信して浸透させる
ゴールを明確にして、道筋を示す
「なぜやるのか?」のコミュニケーションを徹底する
冒頭でもお伝えした通り、上司側はマイクロマネジメントしている意識はないことがほとんどです。しかし、無意識のうちに部下に対して必要以上に指示や監視してしまっているのです。
ここでは、マイクロマネジメントな管理職3つの特徴について、見ていきましょう。
人には「今の実力で快適にできる仕事」と「今の実力で快適にこなせる仕事量」、いわゆる「コンフォートゾーン」がそれぞれ異なります。
・コンフォートゾーン(快適空間)
今あるスキルで活躍できる。時間経過とともに抜け出せなくなる。
・ストレッチゾーン(背伸び空間)
今までのスキルでは通用しない未知の領域。試行錯誤しながら進む。
・パニックゾーン(混乱空間)
まったく歯が立たない。完全に自分のコントロール外で、精神的不調をきたしかねない。
上司が部下に仕事を依頼する場合は、ストレッチゾーンの範囲が部下の成長の観点から適切だと言えます。しかし、相手の力量を見極めないで仕事を投げると、部下はパニックゾーンに陥ってしまい、実力の半分も出せない状況を作り上げてしまいます。
また上司がストレッチゾーンと認識して部下に仕事を依頼しても、部下にとってはパニックゾーンになっているかもしれません。その時、上司は依頼した仕事を引き上げることも想定しておくべきなのですが、それもせずに放置してしまいます。
結果として、部下は自信をなくして萎縮し、上司の期待通りの仕事ができません。上司もそのような部下を見て不安に思い、必要以上に管理してしまうといった負のループに陥ってしまうのです。
マイクロマネジメントをする管理職ほど、細かいルールを作って部下を管理しようとします。
ルールをより細かくするほど、部下の管理が手っ取り早いと考えているからです。
そして、その細かいルールを部下に押し付けてしまいます。
細かいルールを部下に押し付ける上司には、以下の特徴が見られます。
・完璧主義
・神経質
・頑固で融通が利かない
ルールがあるほうが安心する部下がいる反面、細かすぎるルールは監視されていると感じてモチベーションを下げてしまう部下も少なくありません。
部下の意見を聞かない上司は、マイクロマネジメントを過度に行う管理職の典型です。
そのような上司は、自分より経験や知識の浅い部下の意見を聞いても仕方がないと思っています。
例えばチーム内の報連相で、部下が「Slack」を取り入れたいと提案してきた場合。従来の報連相の手法であるメールや日報にこだわる上司は、提案を聞き入れようとしません。これまでのやり方が100%正しいと信じ込んでいるからです。
部下の意見を聞く上司なら、ビジネス用メッセージアプリの便利さに気づき、生産性を上げるために導入を検討するでしょう。
しかし部下の意見を聞かない管理職は、自分の発想の枠内しかチームを成長に導けません。結果として、チームの生産性が一向に上がらない状況を作り上げてしまいます。
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マイクロマネジメントは部下の主体性を奪い、成長を阻害します。しかし、「マイクロマネジメント=悪」とは限りません。マイクロマネジメントによって得られる、2つのメリットについて見ていきます。
相手によってはマイクロマネジメントが有効なケースもあります。
特に新入社員の場合は右も左も分からないので、放置すると何もできません。時間だけがムダに経過してしまうでしょう。
そのような場合は、以下のようにスケジューリングするなど、管理する必要があります。
社会人になりたての新卒社員なら、最低でも1ヵ月くらいはこのようにマイクロマネジメントするのが有効でしょう。新卒社員の立場で考えても、安心して社会人生活がスタートできるはずです。
新規プロジェクト立ち上げ時期は、リーダーのトップダウンによるマイクロマネジメントが有効です。 初期段階でマイクロマネジメントすることで、以降はメンバーだけで自走できるようになるからです。
例えば新規プロジェクト立ち上げ期には、以下のように介入することが有効です。
・プロジェクトの目的とゴールを繰り返し伝えて理解させる
・メンバーそれぞれの役割を認識させる
・ゴールから逆算して、到達までのプロセスごとのKPIを設定する
・軌道にのるまではプロセスごとのPDCAを、フォームに沿って報告させる
・KPIの進捗が遅れている場合は、原因を究明して改善策を具体的に指示する
ただし重要なのは、上記のようなマイクロマネジメントは初期段階までと決めることです。メンバーだけで自走できる目途がついたら、見守るスタイルに移行させましょう。
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メリットが少なからずあるとはいえ、マイクロマネジメントは普段からあまり取り入れるべきではありません。デメリットのほうが圧倒的に多いからです。マイクロマネジメントによる、主な3つのデメリットについて見ていきましょう。
1つめのデメリットは、部下の主体性が育たないことです。
マイクロマネジメントの特徴である細かい管理は、部下が自分で考える力を奪い成長の妨げになるからです。指示待ちの部下ばかりを生み出し、そのような部下に主体性は育ちません。
指示待ちで主体性が見られない部下は、以下の状態が続いてしまいます。
思考停止になり、自分で物事が考えられない
失敗を恐れて何も行動しなくなる
他人や自分に対して無関心になる
主体性がない部下が増えるとチーム力が落ちてしまい、成果を出すことができません。
2つめのデメリットは、部下のモチベーションを下げてしまうことです。
上司から言われたことを流れ作業のようにこなすだけでは、仕事にやりがいを見出すことはできません。当然仕事が面白くないので働く意欲が薄れモチベーションは下がってしまいます。
モチベーションが下がった部下は、以下のような行動をとるようになります。
チームに協力的ではなくなり、周囲とトラブルを起こす
周囲に不満を言い、自分と同じ状況の人を作り出す
上記のような行動を部下が取りだすと、その部下1人の問題では済まず組織全体に悪影響を及ぼしてしまいます。気づいた時には、もはや修正不能な場合もありえるのです。
3つめのデメリットは、管理職の負担が増えてしまうことです。
1から10まで細かく部下に干渉すれば上司の仕事が増えるばかりで、本来の自分の役割を遂行できません。
マイクロマネジメントしがちな上司は、すべての部下に100点を取らせようとします。しかし、人間の能力はさまざまで、すべての部下が100点取ることは現実的にあり得ません。このような管理職は有限の感覚が乏しいと言えるでしょう。時間も無限で、部下の能力も鍛えれば無限に伸びると考えているのです。
結果、すべての部下を細かく監視してしまい、本来の役割である戦略立案や将来の種まきなどができず、組織を停滞させてしまいます。
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マイクロマネジメントは上司側の意識を変えることで、抑制できます。
過度なマイクロマネジメントにならないための、3つの対策についてお伝えしましょう。
仮に上司であるあなたが、「自分は経験豊富で能力が高く、正確な判断ができる」と考えていても、部下の意見を傾聴し、意見を取り入れるにしましょう。そうすることで部下のモチベーションに良い影響を与え、自発的に動くようになるはずです。
現在はビジネスを取り巻く状況の変化が早く、有能な上司でも現状に沿わないことが頻繁に起こっています。部下が持つ最新の情報を判断材料にして、適切な答えを出しチームを成功に導く姿勢が大切です。
そのためには、部下とのコミュニケーションの質を高めることがポイントになります。具体的には、部下をねぎらったり笑顔で明るく話しかけたりしたうえで、部下の意見を取り入れ自分の考えをカスタマイズさせるのが望ましいのです。
マイクロマネジメントに陥る時は、部下との間でコミュニケーションエラーが起きている時です。部下との間で報連相のタイミングをあらかじめ決めてしまうことで、改善できるでしょう。
週一度の打ち合わせ時に、必ず報連相することをルール化する
次回の打ち合わせまでに、「何を」「どこまで」するかをお互い確認する
上記のように、ある意味部下がやらざるを得ない定期報告の時間と場を作るのです。
部下の能力もさまざまで、中にはPDCAを回すために強制力を働かさなければいけない場面もあるでしょう。そのような時には、タイミングを決めて報連相させるのが効果的です。部下に必要以上に干渉することを妨げ、部下のやる気を引き出せるでしょう。
「部下がいつ報告してくるのだろう」といった上司の心労を軽減させる意味でも、報連相のタイミングを決めることは合理的だと言えます。
部下の実力を見極めることで、部下に応じて適切にマネジメントできるようになります。過度なマイクロマネジメントも是正されるでしょう。
部下の実力を見極めるのに役立つのが、「人事制度のキャリアパス」で、キャリアに応じて任せる仕事の範囲やレベルを決めるやり方です。ステージ1の人にはここまで、ステージ2の人にはここまでなど、部下のステージを見ながら仕事を任せるようにします。
上記のように、部下のレベルに合わせて小さな仕事から積み重ねていくことが大切です。
部下の実力を見極め適切にマネジメントすることで、小さな成功体験を積ませることができます。その結果、部下はモチベーション高め、次のステージへと成長を重ねていきます。
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今回の記事では、マイクロマネジメントについて解説しました。
「マイクロマネジメント=悪」ではなく、マイクロマネジメントが効果を発揮する場面も確かにあります。しかし、マイクロマネジメントは部下の成長を阻害する要因になりやすく、管理職が取る手法としてはおすすめできません。
適切なタイミングで権限移譲し、部下が成長し自走してくれることが管理職にとって理想です。しかし業務が多忙な管理職にとって、部下に成長を促しながらマネジメントする余裕などない現実もあるでしょう。
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