「事業が拡大してきたので、要員計画を立てないと回らなくなってきた」
「要員計画はどのようにして立てればいいのだろうか?」
このような悩みを持つ、スタートアップの管理者の方々も多いのではないでしょうか?
環境の変化が激しい現代ビジネスでは、今後展開する事業計画に沿って適切に要員計画を進める必要があります。場当たり的な採用では手間やコスト増を招き、組織の生産性を高めることができないためです。
この記事では企業において要員計画が必要な理由や、立て方について解説します。要員計画を立てるための手順についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
▶社員の本音がわかる!サーベイ実践のノウハウを公開中!【主なトピック】
【こんな方におすすめ】
要員計画とは、企業が事業計画を進める上で人材に関して策定する計画のことです。経営環境が安定していた時期では、終身雇用に代表されるように中長期的な要員計画を立てるのが一般的でした。
しかし経営環境が目まぐるしく変化する現代ビジネスでは、中長期の要員計画策定が難しくなってきています。今後は、量的な部分(必要な人数)と合わせて質的な部分(どのような人材が必要か)も考慮して、時代に沿った経営計画と連動して策定するべきです。要員計画は、企業にとって目新しい戦略というわけではありません。しかし、効果的に実施している企業は少ないのが現状だと言えるでしょう。
効果的な要員計画とは、需要的側面と供給的側面双方の視点で策定することです。需要面では、管理者や人事担当者が将来の人材ニーズを定性的に検討しなければいけません。 つまり要員計画とは、「自社にとって求められる人材」の定義付けから始めなければいけないのです。
供給面では、将来の人材構成がどうなるのかを定量的な側面から明確にする必要があります。 また求める人材と現在の人材のギャップを明らかにし、埋めるために有効な施策について、採用、育成両面でバランスを取らなければいけません。そうすることで、人材投資に関する意思決定を円滑に進め、無駄な取り組みによるコスト増を防ぐ役割も担います。
要員計画と似た言葉として挙げられるのが「人員計画」です。両者の違いについてわかりやすく言うと、以下の通りになります。
●要員計画:経営計画を実現するために必要な人数を割り出し、採用や配置を計画すること
●人員計画:どの部署にどのようなスキルを持った人材がどれだけ必要なのかを具体的に計画していくこと
要員計画は多くの場合人事部が主導し、既存人員を把握しながら採用を計画します。要員計画を遂行することは、経営計画を達成させるための確率を高める取り組みだと言えるでしょう。人員計画も同じく人事部が主導し、人事異動検討などと合わせて行います。現場の状況を加味しながら、生産性向上や効率化に向けた投資や教育も合わせて計画することが、要員計画との違いです。
▶︎welldayなら、AIが従業員の働きがいとストレスレベルを週次で可視化
企業が経営計画を実行するうえで、人材に関する計画は欠かせません。企業にとって、要員計画が必要な4つの理由について見ていきます。
1つめの理由は、要員計画を立てることが合理的な採用につながることです。 離職した人員数をそのまま埋めるだけの場当たり的な採用では、人材のミスマッチを招きかねません。
経営計画実現に向け、各部門が役割を遂行するために必要な人数を考え、計画に反映させていきます。採用を合理化するためには、無駄な採用コストの削減が欠かせません。採用コストを管理するためには、以下のような採用コストの中身を知る必要があります。
<内部採用コスト>
●採用担当者の人件費
●応募者の交通費
●会食費やノベルティグッズに関わる費用
●リファラル採用のインセンティブ
<外部採用コスト>
●求人広告費
●人材紹介成功報酬
●採用代行費
●会社案内などの製作費
●説明会や選考会場費
●内定者研修費
採用コストの総額、内部コスト、外部コストを管理して可視化することで、今後の課題発見や解決に役立てていきます。
2つめの理由は、適材適所への人員配置を実現させることです。 要員計画を策定することで、各部署が求める人材の過不足を把握し社内リソースの最適な分配に役立てます。
現在の組織では、以下の理由で人員の適材配置が必要です。
●事業環境や社会情勢の変化(専門スキルを有する人材を適切な場所へ配置する)
●人手不足(働きがいのあるポジションに就くことで離職を防ぐ)
●人件費の高騰(人材のミスマッチによる過剰人員や不要な採用コストを防ぐ)
しかし感覚的に採用し配置するため、適材適所への人員配置が実現していない企業も少なくありません。適切な人員配置は、企業の生産性を高めたり人員の定着率を向上させたりするなど、企業にとって多くのメリットをもたらせます。
3つめの理由は、中長期的な人材育成です。 要員計画に基づいて将来必要なマネージャーやリーダーの人員数を割り出し、中長期的な人材育成計画を立てます。
中長期的に人材育成を実施するためには、人材育成の目的を明確にする必要があります。人材育成の目的は、企業の経営戦略と紐づいていなければいけません。 例えば、スタートアップ企業が3年後に新規事業を、5年後にはまた新たな新規事業を展開させる場合。描いている事業拡大計画から逆算して、採用計画と育成計画を立てなければいけません。
展開する新たな事業に必要な知識やスキル、組織を運営するために必要な経営的視点など。中長期的な経営戦略に基づいて、必要になる人材像や人員数に合わせた要員計画が必要になるのです。
4つめの理由は、人材のミスマッチによる離職防止を図ることです。 要員計画は人員の適材配置を実現させ、人材のミスマッチ解消につなげます。適切な部署で働くことは、従業員の離職率低下に大きく貢献するでしょう。
要員計画は、一般的には経営層と現場が連携して設計、運用するものです。求める人材像が全社的に一致しているので求職者に対して一貫したメッセージが発信でき、自社に合った人材が採用しやすくなります。
▶︎従業員の不調に素早く対処!従業員のサーベイ回答負担を増やさず、リアルタイムに不調を検知
スタートアップでは、新規事業立ち上げのための設備投資や人材投資が必要です。しかし創業間もない時期は、自己資金ですべてカバーできるケースはそれほど多くないでしょう。
特に人材投資に関しては、事業計画に基づいた要員計画が欠かせません。 無駄な採用コストを抑えて、貴重な資金を確保する必要があります。また企業の成長段階において、必要とされる人材の特性が変化するためです。
スタートアップが要員計画を立てる際は、以下のように自社の成長ステージに合わせて考えるのが望ましいと言えます。
例えば、シードステージではマーケティングに精通していたり、アーリーステージでは販売戦略を立案できたりする人材が必要になります。また、ミドルステージでは経営的視点を持ち合わせていたり、レイターステージでは法律や財務のスペシャリストだったりする人材が必要だと言えるでしょう。
このようにスタートアップにおいては、企業の成長ステージごとに必要な人材を獲得するための要員計画が必要になるのです。
▶︎welldayなら、AIが従業員の働きがいとストレスレベルを週次で可視化
要員計画の立案は、どのような方法で実施すれば良いのでしょうか?要員計画における、2つの算定方法について見ていきましょう。
「トップダウン方式」とは、経営目標達成のために必要な人材を算定する方式のことです。「マクロ的算定方式」とも言い、算定には以下の指標を用います。
●売上高
●付加価値
●損益分岐点
●人件費率
●労働分配率
これらの指標を参考に、総人件費が予算枠内に納まる人数を基準にして人員を配置していきます。必要な人員数を割り出す計算式は、以下の通りです。
●必要な人員数=(年間売上高X付加価値率X労働分配率)÷1人あたりの人件費
トップダウン方式の場合は、企業が定めた予算枠内で人員を補充します。しかし、予算を気にしすぎるあまり、「現場の人員が不足している」といった声に対応できなくなるケースも見受けられるでしょう。したがって「予算を守る」という視点と合わせて、「現場の声を反映させ人手不足を解消させる」双方の視点が必要なのです。
「ボトムアップ方式」とは「ミクロ的算定方式」とも言い、現場の従業員の声を反映させながら各部署の業務量に応じて必要な人員を算定する方式のことです。
各部署の現状を把握したうえで部署から会社全体へと積み上げていき、会社全体で必要な人数や人材を算出します。必要な人員数を割り出す計算式は、以下の通りです。
●必要な人員数=総業務量÷(1人あたりの標準業務量X所定労働時間)
ボトムアップ方式を取り入れると、各部署の人手不足解消につながります。一方、すべての要望に応えようとすると必要人数が多すぎて予定していた予算枠をオーバーするケースが発生しかねません。トップダウン形式と両立しながら計画していくことが、望ましいと言えるでしょう。
▶︎サーベイ不要のエンゲージメント改善サービス「wellday」詳細はこちら
要員計画を立てる上で、いくつかの押さえるべきポイントが存在します。ここでは、5つの手順を見ていきましょう。
1つめのステップは、人事担当者による現状把握です。具体的に見るポイントは、以下の通りになります。
●年度末に在籍する予定の従業員数
●年度初めの時点で各部署に在籍している従業員数
●減員が見込まれる従業員数
●増員が見込まれる従業員数
現状把握は感覚ではなく、「人件費」「給与」「従業員数」などの数字から正確に把握することが重要です。これらの定量的側面での現状把握と合わせて、従業員のモチベーションサーベイを実施することで組織の生産性向上につなげていきます。従業員のモチベーションがリアルタイムで把握でき、人事施策の効果を定量化させることが可能になるためです。
サーベイ実施の際は、調査する側もされる側も負担が少ないツールを利用するといいでしょう。
2つめのステップでは各部門のニーズを調査します。調査では、ボトムアップ方式とトップダウン方式を取り入れるのが一般的です。
現場の責任者(部長・課長など)に対して、以下の項目をヒアリングします。
●「現場で働く人員に過不足はないか」
●「いつまでに何人補充する必要があるか」
●「どのようなスキルを有する人材が必要か」
また、異動や退職による欠員補充なのか、業務を拡大するための人員補充なのかを確認しなければいけません。プロジェクトを遂行するための専門スキルの持ち主や、適任者の人員補充であるかの調査も必要です。
経営陣の意見を参考に、会社全体のニーズを調査します。
●新規事業開拓
●既存事業の推進
●今後進めたい事業計画
上記の内容についてヒアリングすることで、人事に関する予算内から必要な人員数を確認します。その際は、部署によってスキルに偏りが見られたり特定のキャリアの従業員が不足していたりしていないかを確認します。トップダウン方式では、組織全体での人材構成の課題を改善するためにニーズを探ることを心がけるといいでしょう。
3つめのステップは、適性人数の検証とギャップを調整します。 ギャップの調整は、「労働生産性」と「直間比率」を基準にして適性人数を判断するといいでしょう。
労働生産性とは、従業員が生み出す付加価値を労働投入量で割ったものです。一般的には売り上げ見込みから販売管理費を差し引いたものを、人員数で割ることで算出します。直間比率とは、直接的に利益を生み出す部門(営業や生産)とサポートを担う部門(経理や総務)の比率のことです。目安としては、全従業員に占める直接部門の従業員数の割合は70~80%程度が望ましいと言われています。
また新卒採用では、各部署の年度減員分や増員分、要望数をもとに具体的人数を決めます。 新卒採用は中途採用や異動人員と比べ、時間やコストがかかることが少なくありません。要員計画を策定するにあたり、新卒採用は大切な要素の1つだと言えるでしょう。
4つめのステップは、採用計画の立案です。「いつまでに」「何人」「どのような人材」に入社してもらうかを決め計画していきます。
採用計画を立案する際は、できるだけ具体的な人物像を思い描くことが重要だと言えます。イメージと乖離した人材を採用するとミスマッチする確率は高まり、結果として手間や無駄なコストを発生させてしまうためです。 そして、採用市場の動向を見たり採用スケジュールを立てたりすることで、計画に無理がないかを確認します。
5つめのステップは、要員計画の決定です。 最終的には、決裁者からの承認を得なければいけません。計画に問題がないか、最終確認してもらうのです。決裁者は、経営者や各部署の事業責任者などが一般的でしょう。
決裁者からの承認を得るためには、要員計画表の作成がおすすめです。 必要な情報を整理し、見やすい点を意識するといいでしょう。
ここまで、要員計画の詳細について解説しました。要員計画の立て方や運用について、理解が深まったのではないでしょうか。
特に事業拡大を見据えているスタートアップにとっては、人材投資する際の要員計画は必須であると言えるでしょう。 自社が成長するステージによって、必要になる人材の特性が変化するためです。トップダウン方式とボトムアップ方式をうまく織り交ぜながら、要員計画を立てなければいけません。
ボトムアップ方式で要員計画を立てる際には、従業員のことを正確に把握する必要があります。 そこでおすすめなのがwelldayです。 welldayは従業員の働きがいとストレスレベルを週次で可視化することで、仕事で影響が出る前に従業員の不調を察知することが可能です。welldayに興味のある方は、気軽にお問い合わせください。
ピープルアナリティクスとは?わかりやすく解説!
▶︎ピープルアナリティクスとは?従業員データを活用して組織を強くする方法を解説
育成計画でメンバーの成長をサポート!
▶︎育成計画の作り方!メンバーが成長するために必要なステップ【計画表テンプレート付】
人的資源を有効活用する方法!
▶︎人的資源とは?4つの特徴と有効活用する5つの方法を解説