産業革命、IT革命など時代の変化に伴い労働環境は著しく向上しました。その結果人々が働く理由は単に金銭の獲得だけでなく仕事を通した自身の人生におけるビジョンやミッションの追求=自己実現にシフトしてきていることは疑いようのない事実です。
このように企業と従業員間の関係の変化は「従業員満足度」という言葉の普及を促しました。企業の役割は利益を追求するだけでなく、従業員の自己実現を成し遂げることも含まれます。
この記事ではそんな時代の変化とともに普及した概念「従業員満足度」について解説します。一般的な定義から構成要素、企業事例など広くご紹介していくのでぜひ最後までご覧ください。
【主なトピック】
【こんな方におすすめ】
従業員満足度 とは、「マネジメントや福利厚生、職場の環境、働きがいなどについて従業員の満足度を表す指標」 を意味します。英語ではEmployee Satisfactionと言われており、日本でもESと略して使用されることが多いです。
顧客満足度という指標を聞いたことがある方は多いと思いますが、近年では少子化に伴う労働人口の減少により、従業員満足度を重視する企業が増えてきています。
近年、働き方改革の影響を受けウェルビーイング経営やエンプロイーエクスペリエンスなどの従業員満足度に関連する用語を耳にすることが多くなりましたが、これらを重視することは企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?ここではメリットを大きく3点ご紹介します。
従業員満足度が高い状態というのは会社の経営方針やマネジメントの仕方などに納得していることなので従業員の会社に対する貢献意欲=モチベーションが高まります。従業員それぞれのモチベーションの向上は結果的に生産性の向上に繋がるので事業を前進させることになります。
従業員満足度が高い状態は各従業員の組織に対する帰属意識が高いことを表します。帰属意識が高いことは人材の定着につながります。他にも新しい人材が会社の従業員満足度の高さを耳にし、入社を決めることがあるため人材確保にも紐づきます。
従業員満足度が高いことは顧客満足度とも関連していると言われています。勤め先に対する満足度が高い従業員は自社のサービスの分析に力を入れるようになります。その結果サービスに対する愛が顧客にも伝わり良い印象を届けることができます。これらの印象は間接的に顧客満足度の向上に繋がってきます。
従業員満足度には5つの構成要素が存在します。これらの要素を理解することで従業員満足度を向上させる手がかりを見つけることができます。 企業理念への共感 マネジメントに対する納得感 業績や社会に対する貢献感 メンバー間での信頼関係 職場環境の快適さ
企業のビジョンやミッションへの共感は従業員満足度向上に繋がります。会社としてあるべき姿が掲げられ、それらを従業員一人ひとりが理解していると自分が日々担当する業務が何のためにあるか、を逆算して考えることができます。これは従業員に自主的な行動を促し、従業員満足度の向上にも繋がります。
上司と円滑にコミュニケーションが取れて必要な成長機会を与えられている従業員はマネジメントへの納得感が高まります。上司が下す評価や日頃の関係性への納得感が高いメンバーは従業員満足度が高い傾向にあります。逆に、部下にタスクを丸投げしたり承認する機会が少なかったりすると従業員は頼る相手がいなくなってしまうので気をつけましょう。
自身の仕事が会社にとって影響があると感じられることは従業員満足度の向上には欠かせません。会社のビジョンに共感しているか、とも繋がる話ですがメンバーが「ビジョン達成に貢献できていない」「会社の業績に直結しない」などと感じている場合、従業員満足度が低いかもしれません。そのような場合は従業員が仕事の意義を感じて働けるよう工夫する必要があります。
一日の大半を会社で過ごすことを考えると、職場での人間関係が従業員満足度に関連していることはうなずけます。職場で周りに助けを求めることができる風土でないと、仕事に詰まった時一人で抱え込むしかなく、不安や不満が溜まり従業員満足度が下がってしまいます。メンバーが気軽にコミュニケーションを取れるような空間づくりを意識しましょう。
職場環境とは福利厚生や就業規則などを指します。ワーク・ライフ・バランスが実現されている職場を目指して施策を回していきましょう。その他にもオフィスの環境や、前述したコミュニケーションの取りやすい風土は従業員満足度を向上させる際重要と言われています。メンバーが働きやすい環境とは何か、を常に問い直しながら日々改善しましょう。
ここまで、従業員満足度の定義やメリット、5つの構成要素について解説してきました。ここでは上で解説した各構成要素に対応した従業員満足度の向上施策をご紹介いたします。
前述した通り、企業のビジョンをメンバーに共有することは従業員満足度の向上に繋がるので定期的に会社の目指す世界観を伝えましょう。この際、無理にビジョンに共感させようとすることは避け、日頃の仕事がビジョン達成にどのように繋がっているのかかみ砕いて説明するようにしましょう。
上司は従業員に対してタスクを与える際目標の設定を明確にするようにしましょう。目標の説明はきちんとしながら取る手段は従業員本人に任せるなど、タスクの与え方を工夫することで裁量権を与え従業員満足度の向上を図ることもできます。従業員目線に立って仕事を与え、マネジメントに対する納得感を育みましょう。
ある研究によると従業員に社会的貢献感を感じてもらうために効果的なのが、承認感を与えることだそうです。感謝を伝えるなど、客観的情報や具体的事実に対して褒めることは従業員の承認に繋がり自信をもって仕事を遂行するようになります。感謝を伝えられたメンバーは自身の能力や貢献の高さを意識かするようになり従業員満足度が高まるそうです。
1on1ミーティングとは、部下を中心に仕事を通じて得た体験や課題、悩みを上司と共有するミーティングです。週に1回~月に1回といった定期的なペースで30分程度の面談を実施するのが望ましいとされています。1on1の基本的なスタンスは、部下のための場であることです。よって、上司は「あなたならどうする?」などヒアリングをして部下の意見を引き出す努力をする必要があります。1on1ミーティングを繰り返してお互いの信頼関係を築いていきましょう。
職場環境の見直しとは、就業規則やオフィスの配置など大きく手間のかかる施策もありますが、タスクの担当者分配など、あまり工数をかけずに改善することもできます。例えばタスクの役割やスケジュールを決定する際、マネージャーが一方的に内容を決めず、実際にタスクを行う者も意思決定に参加してもらいましょう。タスクの具体的な進め方や量を設定する際、作業担当者自身がタスクの範囲を増やしたり再調整することができるようにすることも大切です。これをすることにより与えられたタスクの背景を理解することができ、作業時の解像度が上がります。 職場環境の改善方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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ここまで業員満足度を向上させる方法をご紹介してきましたが、闇雲に施策を打っても仕方がありません。まずはアンケート調査で現状を把握してから打ち手を考えるのが賢明でしょう。ここでは従業員満足度アンケート(通称ESアンケート)を成功させるために必要な項目などを解説していきます。
ここでおすすめする従業員満足度アンケートの項目はアメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した二要因理論に基づいており、従業員の満足感を網羅的に調査することが可能です。二要因理論とは、職務における満足(動機付け要因)および不満足(衛生要因)を引き起こす要因をまとめた理論です。二要因理論を基に作成するアンケートは以下のような項目を含みます。
従業員満足度を測るアンケート項目は、二要因理論をもとに「動機付け要因」と「衛生要因」とで分けて作成すれば従業員満足度を正確に測ることができます。
従業員満足度アンケートの詳細の設計の仕方や具体的なアンケートの例が知りたい方は是非こちらの記事をご覧ください。
是非こちらの記事も併せてごらんください。
ここまで従業員満足度の解説やアンケート調査の項目を説明してきましたが、実際に従業員満足度が高い企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか?ここでは従業員満足度が高い企業の事例を3つご紹介します。
セールスフォース・ドットコムは営業支援、顧客管理ツール「Salesforce」を手がける会社です。同社は「働きがいのある会社ランキング」に常にトップに選出される従業員満足度の高い企業として有名です。
セールスフォースでは顧客を含め、会社に関わる全ての人を「家族」として接する社風「Ohana Culture(オハナカルチャー)」があります。Ohanaとはハワイ語で「家族」を意味します。お客様と従業員、すべての人と家族のように信頼関係で平等に繋がる関係で結ばれています。
Ohana Cultureのおかげで困った時にチームメンバーが助けてくれるという安心感が醸成され、メンバー間での信頼関係やマネジメントに対する納得感に繋がるのでしょう。
シスコシステムズはアメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社です。シスコシステムズは2021年の「働きがいのある会社ランキング」で1位に選出されました。
同社は従業員のバリューに関する理解を深めるために「Our Shared Values Project」を立ち上げたそうです。このプロジェクトではシスコシステムズのすべての従業員がワークショップに参加して会社のバリューに基づく行動規範を策定したそうです。これにより、それぞれの従業員が会社の価値観や行動規範を深いレベルで理解することができ、日頃の行動でもカルチャーを体現しているそうです。このようにシスコシステムズはトップダウンでの伝達だけでなく、メンバー主導の取り組みにすることによって従業員が自分事としてバリューに共感することに成功したそうです。
シスコシステムズでは他にも従業員がビジョンの実現に向かっていることを認識できるよう工夫しています。例えば同社では全従業員が会社のミッションやバリューが記されたカードを携帯しているそうです。これにより従業員は会社の目標を振り返る機会が増え、ビジョンを具体的な行動に移す習慣がつきます。他にもマネージャーに対する定期的な勉強会でビジョンを見つめ返す機会を設けることで会社全体で目標に向かっていることを実感することができ、従業員の満足度が高まるそうです。
株式会社ラクーンは、「企業活動を効率化し便利にする」を理念にEC事業や保証事業、決済事業を展開する会社です。
同社は職場環境を改善して従業員満足度を高めるために「近距離通勤支援制度」を導入しました。この制度では会社オフィスから3km以内に住む従業員に毎月2万円の手当を支給します。
朝早くから長い時間をかけて電車に揺られて出勤するストレスを軽減することでより働きやすい環境を目指しているそうです。この制度を開始し始めてから社内の約1/3の従業員が3km以内に住み、自転車で通勤しているそうです。
満員電車の憂鬱さから解放され、家に帰る時間が短縮されたことからプライベートに費やす時間が増え、ワークライフバランスの実現に繋がるといったメリットがあります。
上記のお悩みがある方は、welldayの導入がおすすめです。
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さて、ここまで従業員満足度の説明や、メンバーの状態を把握するためのESアンケートの項目、企業事例などをご紹介してきました。しかし日々の業務で変化する従業員のコンディションを常に把握することは難しいです。そんな課題を解決するために弊社では無駄なアンケートを実施せずともSlackやTeamsなどのチャットツールで従業員満足度を可視化するツール「wellday」を提供しています。
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welldayの価値は、コンディションの可視化だけではありません。welldayでは従業員コンディションが低下した人に対して課題特定サーベイを送ることが可能なのでスコア低下の原因を詳細に特定することができます。 さらには企業のワーク・エンゲージメントおよびストレスマネジメント向上事例などをまとめた解決策コンテンツも用意しているので従業員のスコアが低下した際、課題に直結したサポートを提供することができます。
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【参考サイト】 2021年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング
【参考サイト】 シスコシステムズ|働きがいのある会社
【参考サイト】 ラクーンの制度紹介① 『勤務地の固定宣言』と『近距離通勤支援』