「会社への不満を溜めた社員の退職が続いてしまった。どのように対策をとるべきなのだろう」 「社員には、会社に対する要望を素直に上げてほしいけど上手くいかない」
労働人口が減少する現代において、社員に長く働いてもらえる環境づくりの重要性が高まっています。しかし社員が会社に対して何を求めているのかを把握するのは簡単ではありません。そのため会社に対する要望を社員が積極的に上げられる職場を目指していく必要があるのです。
本記事では、社員が要望を上げやすい職場づくりのポイントを解説します。また社員の本音を引き出す方法や、社員から要望を受け取った際の対処法も説明するので参考にしてみてください。
社員が積極的に要望を上げるようになると、職場の風通しが良くなり、社員の定着率も高まる可能性があります。是非とも率先してそのような職場を作っていきましょう。
はじめに社員が会社への要望を上げやすい職場がどのようなものなのか確認していきましょう。いわゆる風通しの良い職場には次のような特徴があります。
●反対意見を述べても陰口を言われたり、責められたりしない
●全員が対等な関係で業務に携われる
●一部の役員や創業者による横暴さがない
●客観的な成果に基づいて人事評価が行われる
このように社員が自らの要望を述べることを恐れずに済むような職場を目指す必要があります。社員は経営者や上司に対して弱気になってしまうケースも少なくありません。そのため経営者や上司から積極的に社員とコミュニケーションを図り、風通しの良い職場を作っていく必要があるでしょう。普段から社員が萎縮しているような場合は要注意です。
反対に、社員が会社への要望を言いづらい職場は具体的にどのようなものでしょうか?次の中に当てはまるものがある場合、職場改善の必要性は高くなるかもしれません。
●常に誰かが誰かの悪口・陰口を言っている
●派閥があり、別のグループに対してケンカ腰で接する人達がいる
●ワンマン経営で、社員は指示に従うことだけを求められる
●業務の割り振りにおいて不公平な状況が発生している
●叱責する場合、皆の面前で晒し上げるような形で行う
当然ですが、上記のような職場では社員が自らの要望を口にすることはありません。口にしたところで取り合ってもらえず、ひどい場合は悪口や叱責の対象となる恐れがあるためです。そして社員は環境に耐えきれなくなり、いずれ転職していくでしょう。
その結果、職場は環境改善の機会を失い、社員が定着しない状態のまま採用コストがかさんでいくのです。また当然ですが、優秀な人ほど離れていくので会社の業績への影響も懸念されます。長く働いていると自社の環境が当然のものに思えてくるものですが、社員が不満を口にすることなく退職していく状態が続いているのであれば、職場環境の改善に着手する必要があります。
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それでは実際に社員が要望を上げてくれると会社にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは次の3つのメリットについて解説します。
●生産性の向上
●離職率の低下
●現場視点での改善点の把握
社員から要望を上げてもらうことで、会社にとっても大きなメリットがあるのです。職場がどのように変わるかイメージしながら確認してみてください。
1つ目のメリットは、組織やチームの生産性の向上です。自らの要望を口にしやすくなることで、社員のストレスが減り、職場への信頼感が向上し、それらが生産性の高さに繋がっていきます。
またそうした社員が増えることで、社員同士の切磋琢磨も生まれてさらに好循環を構築できるでしょう。反対に職場環境の悪い中で働く社員はストレスからミスが増えたり、「自分だけが頑張っても意味がない」と考えてしまったりする恐れがあるのです。
組織全体やチームの生産性向上を目指しているのであれば、まずは職場環境の改善から着手するのも一つの手です。
このように社員が要望を言いやすい職場を作ることで会社にも生産性向上という大きなメリットが発生します。
2つ目のメリットは、離職率の低下です。先ほども触れた通り、社員が要望を口にできない職場では社員の離職の恐れが高くなります。社員の離職があると、会社は新しい社員を探さなければなりません。そこには採用費用や人事担当者のリソースの圧迫が発生します。
そして優秀な社員が離職してしまえば、組織全体への影響も大きいでしょう。このように社員の離職は会社全体に負担をかけるのです。それを避けるためにも職場環境の改善は重要です。離職率が低下すると、それだけ会社に慣れた社員が増えていくので業務効率の向上も期待できます。
3つ目のメリットは、経営者や上司では気づきにくい現場目線での改善点が社員から上がってくる可能性がある点です。例としては、効率を上げるための業務フローの変更や、新しいシステムやアプリケーションの導入提案などがあります。
これまで長く固定化されてきたビジネスフローであっても、現場で実際に手を動かす社員だからこそ気付ける改善点があるものです。こうした改善案を要望として吸い上げ、PDCAを回していくと会社全体の業務効率向上の可能性に繋がります。まずは社員と上司でコミュニケーションを図り、上司への要望として改善案を上げてもらいましょう。その上で提案が適切な場合は上司から経営陣に話を通すと効果的です。
そうして改善提案が現場から積極的に上がるようになり、合理的な判断に基づいて提案を採用できる体制が整うと社員のモチベーションアップにも繋がります。
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先ほどの内容で社員から要望を上げてもらう重要性がイメージできたでしょうか。要望や改善案が一切上がってこないまま社員が辞めていく職場は注意が必要です。
ここでは社員から実際に要望を受け取った場合にどのように対処すべきかを解説します。
社員の要望は、それが上司への要望でなくても、まずは直接の上司が確認するようにしましょう。社員と直接の上司は業務上でやりとりする頻度も高く、要望の背景をイメージしやすいからです。仮に社員がいきなり経営者に要望を出しても、経営者の多くは個別の社員が行う現場業務を把握していないため、要望を受け入れるかどうかを判断できなくなります。
こうした事態を避けるために、社員の要望は直接の上司が聞きましょう。社員が上司に要望を伝えやすい環境を作るためには日頃からのコミュニケーションが重要です。上司に対する信頼があってはじめて社員は自らの要望を口にしてくれるものと考えて良いでしょう。また社員から要望があった場合は、その理由も確認するようにしてください。社員がどのような理由から要望を上げているのか正確に理解しましょう。
社員の要望の中には簡単に受け入れられるものもあれば、会社全体に影響を及ぼすために受け入れの難しいものもあります。例えば給料アップの交渉は、会社の賃金規定との関わりもあるため簡単に受け入れられるものではありません。一方で業務フローの変更であれば、合理的な範囲で試すのは決して難しくないでしょう。
このように社員の要望に対してどのような返答をするにしても、結論だけを伝えて終わりにせず、しっかりと理由を伝えることが重要です。特に要望を断る場合は、次のような要素と合わせて理由を論理的に伝える必要があります。
●会社の状況
●他部署との折衝
●規程類への抵触
●予算の問題
社員と上司、または社員と会社の間に信頼関係があれば、適切な理由から要望を断ったことで社員が離職してしまうようなリスクは低いでしょう。上司の立場からは、社員の気持ちになってどのように伝えると社員が納得するかイメージしてみてください。
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会社の中には定期的に社員にアンケートを配り、要望を吸い上げようとしているところもあります。もちろんアンケートが適切になされていれば、社員の要望を把握するために効果を発揮します。しかし、そもそも社員が要望を上げるための土台ができていなければ、アンケートの結果に社員の本音が表れなくなってしまいます。
社員の本音を引き出すためには次のような環境が重要です。
●要望を理由なく否定しない
●要望が適切な決裁権者に届く仕組みがある
●社員と上司、社員と会社の間に信頼関係がある
場合によっては要望を無記名で取得する必要もあるでしょう。特にチーム内のようにメンバーが固定されているところでは、記名式では伝えにくい話もあります。また社員と上司で1on1のミーティングをしながら要望を話してもらう手法もあります。あなたの会社に合う形で、会社や上司の側から積極的に要望を吸い上げる仕組みを検討してみてください。
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先ほども触れた通り、要望を上げてもらう上で社員と会社の信頼関係は重要です。しかし信頼関係は簡単に見えるものではありません。そこで昨今はエンゲージメントサーベイという調査を用いて社員と会社の関係を可視化しようとする会社も増えました。
エンゲージメントとは社員と会社の関係を指す言葉です。そしてエンゲージメントには次の要素が大きく関連しています。
●従業員満足度
●社員のモチベーション
●会社への愛着
●会社への信頼
これらが総合的に含まれたものがエンゲージメントとなります。そして当然ながら従業員満足度が高く、社員のモチベーションが高く、社員の中に会社への愛着や信頼があるとエンゲージメントは高くなります。反対に、上記要素が低いとエンゲージは低くなります。そして会社として目指すべきは当然ながらエンゲージメントの高い状態です。
ここではエンゲージメントサーベイの2つの方法を紹介します。会社の状況に合わせて負担のない方法を試してみてください。
eNPSは非常に簡単なエンゲージメントサーベイで、従業員に「この会社で働くことを親しい人にどのくらい勧めたいか」の質問をするものです。回答は10点満点でしてもらいます。
そして0〜6点だった人物を批判者、7〜8点だった人物を中立者、9〜10点だった人物を推奨者と評価します。そのうえで、推奨者の割から批判者の割合を引いて、eNPSの値を算出します。
eNPSの結果については、批判者が多い場合は職場環境改善の余地があると考えてください。一方でeNPSだけでは職場のどこを改善すべきか見えにくい場合もあります。そのため次に紹介するQ12も組み合わせて職場の改善点の把握に務めましょう。
eNPSについてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
eNPSとは?調査方法や上手に活用する方法を解説
Q12は次の12の質問に1〜5点で回答してもらうエンゲージメントサーベイです。
こうして質問を実施し、点数の低い結果が集まった点を改善対象として検討していくのです。このようにエンゲージメントサーベイは必ずしも難しいものではありません。上記の質問事項を記載したシートを配り、無記名でも良いので定期的に回答してもらうと良いでしょう。
自社の環境を客観的に把握するためにも是非とも取り入れてみてください。経営者や上司からは見つけられにくい改善ポイントがわかり、迅速な改善ができるとそれだけでエンゲージメントが向上する可能性もあります。また回答後に会社が迅速に改善を実施すると、社員の会社に対する信頼も高まります。
本記事では、社員が要望を上げやすい職場について解説しました。社員が要望を上げやすい会社は生産性の向上、離職率の低下、効率的な改善が期待できます。社員と上司、社員と会社の信頼関係を構築してい、風通しの良い職場を作っていきましょう。
また社員から上がってきた要望は適切な決裁権者が確認し、受け入れる場合も断る場合も丁寧に理由を説明していきましょう。
さらに社員と会社の関係を図るためには、eNPSやQ12のようなエンゲージメントサーベイが効果的です。結果から改善すべきポイントが見えてくるので積極的取り入れてみてください。
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